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十種競技・右代啓祐は毎年、変わる。
「百獣の王」武井壮の“教え”とは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2020/08/01 20:00
「東京陸上選手権」の競技初日に、砲丸投げで14m98の好記録を出した右代。取り組んできた新たな技術の習得に手応えは十分だ。
「今は、記録が上がるか上がらないかの狭間にいる」
それから6年。この間、記録は伸びなかったが毎年新しいことにチャレンジすることを欠かさずに続けるというモットーは変わらない。
前述した砲丸投げの「リバース」の技術の他にも、最近は34歳にして食生活を改善したという。それまでは自然体で過ごしてきたが、栄養士の指導を受け、足りない栄養素をあぶり出すなどしながら体調をコントロールしていることで、調子は良い。
「今は、記録が上がるか上がらないかの狭間にいる」と、ポジティブな手応えを感じている。
日本陸連が毎年行なうナショナルトレーニングセンターでの基礎テストでは、立ち幅跳びやメディシンボール投げでの数値は下がっているが、十種競技での種目に目を移すと、円盤投げや砲丸投げは、練習中にベストが出ることもあるそうだ。
「だから僕は、テストの数値が落ちることが老化だという判断には繋がらないと思っているんですよ。それに、やり残しがあるうちは、それをなくすことで記録が出ると信じています」
「五輪のメダルの可能性が出てきます」
東京選手権で久々に試合の感覚を取り戻した右代は、8月8、9日に北海道千歳市で開かれる「道央陸上混成競技競技大会」に出場し、9月26日から長野市で予定されている日本選手権陸上混成大会に向かう予定だ。
「千歳では東京選手権で出た改善点を修正して、8000点台を目指します。いつでも8000点を取れる力をつけておいて、勝負するときに8300、8400、8500、8600としていく。そうすれば五輪のメダルの可能性が出てきます」
今は大会が開かれること、そこに参加できることに幸せを感じる毎日でもある。コロナ禍に流されない34歳。ベスト記録を出した暁には、スポーツファンみんなで右代を称えたい。