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400mH世界歴代2位ワーホルム。
「時計がゼロから始まる素晴らしさ」

posted2020/07/25 08:00

 
400mH世界歴代2位ワーホルム。「時計がゼロから始まる素晴らしさ」<Number Web> photograph by PUMA

2019年の夏に400mハードル史上3人目となる46秒台を出したワーホルム。

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林田順子

林田順子Junko Hayashida

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PUMA

 オリンピックの花形ともいわれる陸上競技も、新型コロナの影響を大きく受けた。

 ワールドアスレチックス(世界陸連)は6月に行われる予定だったダイヤモンドリーグの2つの大会の延期を決定、来夏予定されていた世界陸上も2022年に延期されることが表明されている。

 だが、そんななか興味深いレースが開催された。6月11日にノルウェーのオスロで行われた「インポッシブルゲーム」だ。出場選手は欧州のトップアスリートに限定。無観客、五輪非採用の距離などのエキシビション種目の実施、国境を越えてのバーチャル対決など、さまざまな試みが行われた。

 コロナ禍で満足な練習ができなかったのではないかと懸念もされたが、蓋を開けてみれば、いくつかの新記録なども誕生した。

 そのひとつがノルウェーのカールステン・ワーホルム(24)による300mハードルの世界記録樹立だ。今回、五輪非採用の300mハードルにエントリーしたのは彼1人。競う相手はおらず、1人でトラックを走るという不利な環境にも関わらず、33秒78でゴールした。

 コロナ禍のなかでどうモチベーションを保ち、好記録につなげたのか。400mハードルで世界陸上を2連覇しているワーホルムに、話を聞いた。

元は十種競技などの選手だった。

「まず、あの大会は私たちアスリートにとって特別なイベントでした。パンデミックのことを考えると、あのような大会を開催できたこと自体が素晴らしいこと。確かに、競争相手がいないという条件の中で世界新記録を目指して、自分を追い込むことは容易ではありませんでしたが、毎日の練習は1人で行っていますし、1人で走ることには慣れていました」

 ジュニア時代は八種競技や十種競技を行っていたワーホルムだが、「投擲があまり得意ではなかった」という彼の資質を見抜いたライフ・オラブコーチの助言で、2015年に400mハードルに転向。

 翌年のリオ五輪では準決勝進出にとどまったが、2017年、2019年の世界選手権で見事に金メダルを獲得している。転向からわずか2年で世界の頂点にのぼりつめたことになる。

【次ページ】 前半は「突っ込んで」、そのあと跳ぶ。

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カールステン・ワーホルム

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