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MLB集団感染発覚は悪夢ではない?
問われるべきコミッショナーの責任。
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byGetty Images
posted2020/07/31 07:00
マーリンズの本拠地マーリンズ・パーク。CEOのデレク・ジーター氏は「選手とスタッフの健康を第一にやっていきたい」と声明を発表。
「悪夢と呼ぶ状況ではない」と言うが。
開幕からわずか5日目で起こった集団感染。にもかかわらず、MLBネットワークに出演したマンフレッド氏は「シーズン中に陽性者が出ることは想定内だった。シーズン中に陽性者が出ても継続できる手段を決めている。悪夢と呼ぶような状況ではない」とコメントし、延期や中止の可能性を否定した。
実際、メジャー枠を40人から60人、ベンチ入り枠を26人から30人に拡大し、遠征時には最大3人の控え選手が同行するなどの対策は講じていた。
もっとも、グラウンドでプレーする選手からすれば、事態は決して楽観視できるレベルではない。26日の「レイズvs.ブルージェイズ」でレイズが逆転サヨナラ勝ちを収めた直後、選手達はハイタッチだけでなく、強烈なハグやウォーターシャワーで喜びを分かち合った。
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言うまでもなく、濃厚接触だった。
だが、選手にとっては、ごく自然な行動だった。ケビン・キャッシュ監督は「できるだけコントロールしたいが、完璧にはできない。もっとしっかりしないといけない」と本音を明かした。
「1人が感染すれば、全員に広がる」
マリナーズのスコット・サービス監督も「ホテルやクラブハウス内では十分に気を付けているが、試合に入ると感情も出るし、エキサイトもする。ただ、我々は賢く行動しなくてはいけない」と、プレー中にソーシャル・ディスタンスを維持することの難しさを口にした。
公式戦開催に同意したことに、リスクがあることは否定のしようがない。ただ集団感染が発生した以上、少なくとも「想定内」のひと言で片付けず、対策を厳密に見直す必要はあるに違いない。
レッズで開幕投手を務めたソニー・グレイは、素直な胸の内を明かした。
「家にいれば安全だが、ロードでどうすべきか分からない。1人が感染すれば、全員に広がる。簡単ではないし、大変だが、何とかやれると思いたい」
今後、他球団でも集団感染が発生した場合、コミッショナーは再び「想定内」と発言するのだろうか。