野球善哉BACK NUMBER
秋山翔吾がメジャーで一番変えた事。
「日本にいる時よりバカやってます」
posted2020/07/30 17:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
AFLO
画面で見る限り、大きく変わったところは見受けられなかった。
今季からシンシナティ・レッズに移籍した秋山翔吾がメジャーデビューを飾った。現地24日のタイガース戦、6回2死一、二塁の場面で代打に起用され、アウトコースのストレートをセンターに弾き返すタイムリーヒット。1打点も記録した。
自粛期間中は「上達したのは料理です」と開幕まで先が見えない日々に自虐的なことをいっていたが、ようやくのデビューでも変らぬ彼らしいバッティングのアプローチでメジャー初打席初安打初打点を記録。珍しい代打での登場ながら、上々のデビューといっていい。
チームに馴染んでいるようすが画面からでも伝わってくるが、いま考えても秋山ほどメジャー移籍が意外だった選手はそういない。
意外にも発言はネガティブが強い。
2015年にシーズン最多安打の日本記録を樹立し、そのオフから侍ジャパンの常連だったので、世界を意識するのは必然の流れであった。しかしそれでも、彼は日常的にプラス思考というよりは不安を口にすることが多く、メジャー移籍という選択はしないのではないかと感じていた。
試合前にホームランの話を聞けば「きょうはこんな話をしたからタコるかもしれない」。セーフティーバントをしない理由はと尋ねると「失敗したときの後悔が次の打席まで影響する」と語る。そんな選手だ
昨季終盤、おそらく西武を離れることになるだろうという報道が出はじめ、秋山に近い人物からメジャー移籍が規定路線という情報を耳にしても、彼のネガティブな発言を思い出して、それを現実的に捉えることができなかった。