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45歳引退…衰えてブーイングされても「老眼でも何でも、1分後には」なぜ“最強GK”ブッフォンは愛されたか「俺たちは勝利したんだ」

posted2023/08/23 11:00

 
45歳引退…衰えてブーイングされても「老眼でも何でも、1分後には」なぜ“最強GK”ブッフォンは愛されたか「俺たちは勝利したんだ」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

EURO2016のブッフォン。4つの年代をまたいで偉大な守護神としてゴールマウスに立ちはだかった

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph by

Takuya Sugiyama

 イタリアを代表するGKジャンルイジ・ブッフォンが現役引退を発表した。1990年代から2020年代にかけて活躍した名守護神の濃すぎるサッカー人生を振り返る。(全2回の1回目/#2も)

 45歳の夏、超人GKジャンルイジ・ブッフォンがついにグローブを脱いだ。

 1995年11月19日に17歳でセリエAデビューして以来、世紀を超えて幾多の金字塔を打ち立てた彼には、内外から“史上最高のゴールキーパー”との呼び声も高い。

 時代柄か、現役引退のメッセージはSNSで発表された。

《ここらで終わりにしよう

(おまえは)俺にすべてを与えてくれた

 俺も(おまえに)すべてを捧げてきた

 俺たちはいっしょに勝利したんだ》

 短いミュージック・クリップに添えられた原文のイタリア語表現では「あなた、おまえ」にあたる人称代名詞が省かれている。ブッフォンが言わんとした「おまえ」とは、“サッカーそのもの”に他ならない。

デル・ピエロ、ガットゥーゾが粋なコメント

 28年のキャリアで所属したパルマとユベントス、PSGとイタリア代表だけでなく子供の頃の夏休みに興じたビーチサッカーや草ゲームもいっしょに、プレーヤーとしてのサッカー人生そのものに一つのけじめをつけたかったのだろう。

 セリエA最多出場記録(657試合)や同最長無失点記録(974分)をはじめ、イタリア代表としても歴代最多出場記録(176試合)や優勝した06年ドイツ大会含む史上最多タイとなるワールドカップ5大会参加を誇る。彼の功績を読み連ねるだけで画面スクロールが何度必要になるやら。

 長いプロ人生を共にした新旧チームメイトやライバルたちは、一斉に惜別のメッセージを送った。

 ユーベと代表での戦友アレッサンドロ・デル・ピエロは「スーパーマンのジジ(※ブッフォンの愛称)といっしょにプレーした日々は最高だった」と栄光を懐かしみ、同じ78年1月生まれのジェンナーロ・ガットゥーゾ(前バレンシア監督)は「俺にとってやつは絶対無欠、不滅の男だ」と賛辞を惜しまず。

 名ストライカーだったアルベルト・ジラルディーノ(ジェノア監督)とフィリッポ・インザーギは声を揃えて「あんたこそ最高のGK。だから得点できたときは本当に嬉しかった」とかつての対戦相手としても敬意を表した。「あんたがいなかったら俺は世界王者になれなかった。本当にありがとう」と暴れん坊マルコ・マテラッツィまでしんみり感傷的にさせるほど、“ブッフォン引退”は一つの時代の終わりを告げる大きな節目だ。

【次ページ】 ブッフォンが語った「キャリア最高のセーブ」とは

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