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セレクトセール落札総額187億超!
ディープ亡き今、超高額馬の出現は?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/07/16 08:00
ディープインパクト(写真)とキングカメハメハ産駒を買えるラストチャンスとなった今年のセレクトセール。“ツートップ”の後継となる馬は現れるか?
1歳馬セール総額は104億円超。
この日、ディープ産駒は13頭が上場されて12頭が落札。平均落札額は2億円を超えた。キンカメ産駒は10頭が上場されて8頭が落札。うち2頭が1億円を超えた。
ディープは昨年24頭に種付けしたが、配合相手の多くが海外から持ち込まれた牝馬だったので、“ラストクロップ(その種牡馬の最後の世代)”となった当歳馬がどれだけ日本で走ることになるかわからない。来年のセレクトセールの1歳馬セールに上場される馬がいるかどうかも不明だ。そして、キンカメは、昨年種付けを行わなかったので、今年の1歳馬がラストクロップとなる。
この1歳セールには計249頭が上場され229頭が落札。売却率は92.0%で、売却総額は104億2800万円。ともに昨年に次ぐ歴代2位の好結果だった。
ノーザンファーム代表の吉田勝已氏はこう話した。
「この情勢のなか、始まるまでは、とにかく実施できればいいなと思っていました。やらないと馬が回っていきませんからね。実施できないのではないかという不安のほうが大きかったので、この結果には驚いています。無観客とはいえ、競馬が開催されていることが大きな要因だと思います。(感染拡大防止対策として設置した)セリ受付専用電話で4頭が取引されました。今後、いろいろな形で世界中をつないでいければいいと思います」
後継ハーツクライも、若くはない。
ツートップの産駒が不在だった2日目の当歳馬セールも好調だった。226頭が上場されて203頭が落札。落札率は89.8%、落札総額は83億3400万円。2日間合計の落札総額は187億6200万円で、過去最高だった昨年の205億1600万円に次ぐ歴代2位の記録となった。
当歳馬セールの落札額のトップ3はハーツクライ産駒が独占し、最高落札額はヒルダズパッションの2020の3億8000万円。「ホウオウ」の冠で知られる小笹芳央氏が落札した。
ツートップの後継はハーツクライに決まった、と言いたいところだが、ハーツはキンカメが勝ったダービーの2着馬で、今年19歳。けっして若くはない。
これからは、ハーツを含め、ロードカナロア、ドゥラメンテ、エピファネイア、キズナなど、群雄割拠の時代になっていくのか。