話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
鈴木武蔵の不在を札幌はどう凌ぐか。
代役は金子? 2トップの可能性も。
posted2020/07/15 19:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
鈴木武蔵の不在は大きい。
湘南戦は、改めてそのことを思い知らされた試合だった。
前節、鹿島に19年ぶりに勝ち、Jリーグ再開後は2連勝と上々のスタートを切ったコンサドーレ札幌だが、その勝利の代償は大きかった。
Jリーグ再開後、2試合3ゴールと好調を維持していた鈴木が左太もも裏を負傷して、途中交代を余儀なくされたのだ。
その影響は、鈴木がピッチを去った後の戦いに覿面に表れた。
攻撃の形をほとんど作れず、鹿島に押され続け、なんとか逃げ切っての勝ち点3だった。
裏に抜けるスピードでゴールを量産していた「戦術武蔵」なしで、いかにゴールを奪うか。
それが湘南戦の最大のテーマだった。
湘南に読まれていた戦術と奇策。
札幌は、湘南の鬼プレスを避けるために、ダイレクトで回す戦術に出た。
左サイドのチャナティップと菅大輝、福森晃斗との絡みは良好だが、この日、動きが少ないジェイとは距離感が悪く、流れるような攻撃が見えない。
左でチャナティップが持つと逆サイドの鈴木がボックス内や裏を狙うシーンがこれまでは見られたが、今季初スタメンで鈴木のポジションに入った駒井善成との呼吸ももうひとつだ。この日の札幌は、横は使えていたが縦をもうひとつ使えていなかった。
それが鈴木がいる時との大きな差のひとつだった。
セットプレーでは田中駿汰の惜しいヘディングシュートがあったが、相手の脅威になっていた武器がない。しかも前の動きが少ないのだから湘南は、札幌の攻撃をそれほど脅威に感じていなかったはずだ。
それは札幌のベンチも感じ取っていたようだ。
ペトロヴィッチ監督は、後半最初から4人を一気に交代する奇策に出た。
ただ、ここも湘南の浮嶋敏監督に「前線の動きが重く、後半何らかの手を打ってくると思っていた」と、その動きを読まれていたのである。