JリーグPRESSBACK NUMBER

降格なしの異例シーズン。昇格組・
柏&横浜FC監督に見える“頑固さ”。 

text by

須賀大輔

須賀大輔Suga Daisuke

PROFILE

photograph byJ.LEAGUE

posted2020/07/16 11:30

降格なしの異例シーズン。昇格組・柏&横浜FC監督に見える“頑固さ”。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

“古巣”柏とのJ1での試合に勝利した横浜FC・下平隆宏監督(左端)。次戦での対決ではネルシーニョ監督もリベンジを期していることだろう。

直接対決後、対照的だった言葉。

 約4カ月の中断期間を挟み、3連戦での再開となったリーグ戦ではくっきりと明暗が分かれた。結果は柏が3連敗で横浜FCが1勝1敗1分け。勝点数にすると『4』の差だが、その内容や戦いぶりは顕著に差があった。

 特に直接対決となった再開2戦目の第3節では勝敗以上に白と黒がはっきりとついた。

 GKを含め最終ラインからボールをつなぐ横浜FCは全員が正しいポジションを取りスペースを見つけフリーマンを作り出し前進していく。

 それに対して柏はシステムを合わせ高い位置でボールを奪おうとするが、奪いどころが定まらずプレッシャーに出るタイミングはバラバラ。ボールを追いかけ回す時間が続いた。スコアは3-1。完勝に近い内容で横浜FCが制した。

 試合後、指揮官の表情や言葉も対照的だった。

 かつての庭に乗り込み、試合中も絶え間なく選手に声をかけ続けていた下平監督が「しっかり自分たちの攻撃のリズムを作るところを選手たちがぶれずにやってくれて得点も狙いの形でとれたので良かった。最後のところでもみんなが体を張って今日は本当に選手たちを褒めたい。敵地なのであまり喜びを爆発させるわけにはいかないけど、古巣に勝ったことはうれしく思っている」と口なめらかに喜びを噛みしめた。

 それに対し、ネルシーニョ監督は「今日は何もできなかった。戦術的にも技術的にもレイソルにとっては思わしくない結果だったと思う」と潔く完敗を認めた。

 横浜FC戦の前にはFC東京に競り負け、3連戦最後の相手・川崎Fにも力の差を見せつけられた柏。3連戦の成績は1勝1敗1分けながらも、13年ぶりのJ1で戦っていくための自信と手応えをつかんだ横浜FC。リーグ再開直後の結果は対照的なものとなったが、これを受けて両指揮官がブレることはないだろう。

ネルシーニョ監督の「想定内」。

 その根拠は“頑固な”2人の監督の信念にある。

 中断期間中に対外試合を組まなかったことで、ネルシーニョ監督は「再開序盤は困難に直面するだろう、というのは想定内。ヨーロッパでも同じように選手のコンディションやゲーム勘について話されていたと思うが、どうしても3~4試合はコロナ前よりも技術やコンディションが同じようにはいかなかったと思う」と話していた。

 内容はともかく、最悪の想定として3連敗は頭の片隅にあったかもしれない。この3連戦を通じて状態の良い選手、チームのために走れる選手の見極めは済んだ様子だ。自身の言動に責任を持ち、誰よりも勝利に飢えているネルシーニョ監督がシーズン前に掲げた目標と勝つために戦う姿勢を曲げるとは思えない。

【次ページ】 下平監督「報われる日が来る」

BACK 1 2 3 NEXT
横浜FC
下平隆宏
柏レイソル
ネルシーニョ

Jリーグの前後の記事

ページトップ