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カワイイだけじゃない異色の空手家。
月井隼南はフィリピンから東京五輪へ。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKushima Makoto
posted2020/07/11 19:00
一見オシャレで華奢な女性に見えるが……試合となると恐るべき気迫を見せる月井隼南。「貧困」をテーマに講演活動なども。
「病院にいないで走れるだけマシみたいな感じ」
7月中旬の時点でフィリピンに戻れる目処は立っていない。
まだオリンピック出場権を獲得したわけではないだけに、本来ならば今年6月の行われる予定だった最終選考会に全てをかけるつもりだった。現在は父が代表を務める『ワールドカラテアカデミー』を拠点に汗を流す。故障しがちだったヒザとも、うまく付き合っているつもりだ。
「これ以上オーバーワークしたら、悲鳴を上げるとか、練習した瞬間にわかるようになってきました」
最終選考会は1年延期された東京オリンピックを直前に控えた、2021年6月に開催される予定。
第三者から見るとモチベーションの維持が難しくなってくるように思えるが、月井の気持ちは揺れていない。
「ほかの選手と比べるとケガが長かったので、手さぐりの状態には慣れている。私からしたら病院にいないで走れるだけマシみたいな感じですね」
フランス映画『アメリ』の主人公と重なり合うキュートなルックスの奥底では、不屈の闘志が燃え上がっている。