月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
バースの再来? 阪神ボーアに夢中。
“おつかい”より感動した初安打。
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2020/07/01 19:00
「バースの再来」と期待を集める阪神ボーア。19打席目で来日初安打を記録した。
感動的だったボーアのガッツポーズ。
しかしものは考えようである。あのバースと似た道を歩んでいるのは確かなのだ。あとは日本に慣れるだけ……。
すると翌日、遂に開幕19打席目でヒットを放つ!
デイリースポーツは一面で、
『ボーア笑った』(6月25日)
ボーアが笑ったのである。
『苦しみから脱出!!逆襲のガッツポーズ』(デイリー・同)
個人的には「はじめてのおつかい」より感動的だった。ハッキリ言って私はもうボーアに夢中になっていた。
それにしてもこれですよ、これ。コロナで誰もが控えめな生活が続いたが、ここには感情の爆発がある。ヒットを1本打っただけでスポーツ新聞が揺れている。プロ野球、遂に開幕。とにかく、とにかく、スポーツ新聞が嬉しそう。
推しのチームが3連敗してもコラムはにぎやかだ。それが各スポーツ紙の読みどころである。
「開幕3連敗なんて何度も経験」
《ひえぇ~、開幕3連敗やぁ!どうしたらええんや?呆然としているアナタ。まあいいじゃないですか。試合ができているんだから。》
と書いたのはサンスポ関西版のコラム『こちらサンスポ編集局 虎のソナタ』である(6月22日)。
《「開幕しなければよかったのかも」誰や、非常識なことを言ってるのは?運動部長席の方から聞こえたような気がしたけれど。》
コラムの見出しは『大丈夫!開幕3連敗なんて何度も経験』。最高だ。
紙面から伝わる喜怒哀楽。今年は何があっても開幕できただけで「お祭り」なのである。エンタメの力をしみじみ感じることができた。