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大塚虎之介MLBドラフト指名漏れ。
大リーガーの父、王貞治の助言も。
posted2020/06/28 20:00
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph by
Toranosuke Otsuka
「元パドレス大塚氏の長男は指名されず」
こんな見出しの記事がネット上に躍ったのは、メジャーリーグの新人ドラフト会議が終了した6月11日(日本時間12日)のことだった。新型コロナウイルス感染拡大による開幕延期で例年の40巡から大幅に縮小され、5巡止まりとなった今ドラフトで、近鉄やパドレスなどで活躍した大塚晶文氏(48=現・中日駐米スカウト)の長男、虎之介(22=サンディエゴ大3年)が指名漏れしたというもの。
翻って、大塚親子が今年のドラフト指名に期待を寄せていたかというと、報道とは少し趣きが違う。
大塚虎之介は地元サンディエゴの名門ランチョ・バーナード高から、サンディエゴ大に奨学金制度で迎えられた。昨季は外野とDHで52試合に出場し、打率2割8分7厘、2本塁打、チーム2位の34打点を記録。4年制の大学に通う選手は、3学年を終えるか、または21歳以上の選手がドラフト資格を得る。
今年のドラフト指名に虎之介があまり期待を抱けなかったのは、2年前の足の大怪我にあった。1年生のシーズン終了間際、走塁の際に右膝前十字靱帯を損傷し、修復手術を受けている。昨季はプレー用の固定具を患部に装着して試合に臨んでいたが、不安は拭えなかった。そして、完全に回復した今季は早々にシーズン中止となり、アピールする機会を失ってしまったのだ。
父は「まだ体ができていない」。
そんな虎之介を、父・晶文氏は客観的な視線で評した。
「筋力はだいぶついたがまだ体はできていない。これからの1年をどう送るかで(来年の)チャンスはあると思う」
虎之介は身長175cmながらパンチ力があり、本人曰くスイングは吉田正尚(オリックス)をイメージしている。もっともサンディエゴ大のヒル監督からは俊足を活かすため、コンパクトなスイングへの再考も促された。が、試合になると色気が出る。
その煮え切らない気持ちを一変させたのが、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督だった。