バスケットボールPRESSBACK NUMBER
Bリーグ、桜木ジェイアールが引退。
「Mr. シーホース」の存在感を回想。
posted2020/06/20 11:50
text by
青木崇Takashi Aoki
photograph by
B.LEAGUE
「最後のゲームが無観客になってしまった。ファンの声援がモチベーションだったから、こうなってしまったことは残念だ」
昨シーズンを最後に現役から引退した桜木ジェイアール(シーホース三河)は、6月8日の記者会見で後悔することの一つとしてこう語った。
1995年にUCLAでNCAAトーナメント制覇を経験し、バンクーバー・グリズリーズ(現メンフィス)で1シーズンプレーしたのち、元NBAの経歴を持った選手として2001年に来日。以来、アイシンとシーホース三河の歴史を作った選手であることは明白。ミスター・シーホースと呼ぶにふさわしいレジェンドだ。
高いバスケットボールIQ。
桜木が在籍した19年間で、シーホースは天皇杯で2度の4連覇、日本のトップリーグであるスーパーリーグ、JBL、NBLで6度頂点に立っている。
ポストプレーにおける多彩なスキル、非凡な身体能力、高いバスケットボールIQを武器に、相手がなんとかスローダウンさせようと様々な対応をしてきても、チームを勝利に導く術を持っていた。
2008年の天皇杯決勝では34点の大爆発でチームを頂点に導くなど、ビッグゲームで強さを発揮できるのも桜木の強みだ。
しかし一方で、バスケットボールはチームスポーツであり、個の力だけで勝てないことをしっかり理解していて、得点機会を作り出せる選手であることにプライドを持っていた。
カットしてゴール下でノーマークになったチームメイトを見つけることや、ダブルチーム後オープンになったシューターに3Pを決めさせるパスセンスは、203cmのパワーフォワードらしからぬものだった。