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福岡堅樹の決断と消えない記憶。
W杯敗退直後、笑顔の「終わった」。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2020/06/18 18:00
7人制日本代表での五輪出場を断念した福岡堅樹。昨年のW杯で最も印象に残ったと語るスコットランド戦では、3つのトライに絡んだ。
「2023年だってプレー出来るでしょう」
それから4年。
2019年の9月、W杯の開幕前にケガに見舞われ、出場が危ぶまれた時期もあったが、ピークが後ろ倒しになり、スコットランド戦での驚異的なパフォーマンスが生まれたと見ることもできる。運も、味方したのだ。
そして準々決勝敗退後、すべてを出し切ったことで、
「終わった」
という笑顔につながったのではないか、と思う。
2015年の福岡のことを、エディーに直接尋ねたことがある。何があったのか、と。
「私のプランでは、ケンキは2015年の時点で世界に誇れるウイングになっているはずでした。そう、2019年のW杯で見せたパフォーマンスを、まさに期待していたんです。世界的に見れば、ウイングのピークは20代前半に来ますから、ケンキにとっていちばんいい時期のはずでした。ところが、日本の育成システムでは、そこまでの成長が見られなかった。つまり、ケンキは4年ほど成長スピードが遅いんですよ(笑)。だから、2023年だってプレー出来るでしょう」
残念なことに2023年のW杯では福岡の姿は見られないだろうが、世界に誇るウイングの記憶は消えることはないだろう。
いつか、白衣を着た「ドクター・フクオカ」にインタビューが出来ますように。