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大事故で生死を彷徨った兄と共闘。
BMX榊原爽が五輪金へ決意新たに。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by(c)Saya Sakakibara
posted2020/06/18 07:30
オンライン取材で決意を語った榊原爽。BMX界から広がる支援の輪にも感謝の思いを伝えた。
魁のリハビリ支援のために寄付される仕組み。
事故後、魁のもとには、子どもの頃に6年間を過ごした日本のBMX仲間や、世界中のライダーから多くの励ましのメッセージが届いた。そして、「#KaiFight77」とデザインされたステッカーが制作された。売上から材料費などを除いた全額が魁のリハビリ支援のために寄付される仕組みだ。
魁を後押ししようという動きはさらに続いており、6月20日(土)日本時間19時から、自転車のバーチャルトレーニングプログラムである「Zwift(ズイフト)」を使ったチャリティーライド『Ride for #KaiFight77』(https://www.zwift.com/events/view/897137)が開催される。
これは、兄のために何かできないかという爽の思いから実現したイベント。
BMXレーシングの世界チャンピオンであるニーク・キマン(オランダ)や女子ロード・トラック界のレジェンドであるキルスティン・ウィルト(同)、女子BMXレーシングの東京五輪日本代表に内定している畠山紗英や、マウンテンバイクの男子日本代表に内定している山本幸平、そしてスキー・ノルディック複合で五輪2大会連続銀メダルの渡部暁斗など、競技の垣根を越えたトップアスリートが参加する。
爽はチャリティーライド当日の様子を自身のインスタライブ(@sayasakakibara)で配信し、魁へのさらなる支援を世界に呼びかけようと考えている。
「今は、魁や私、そして私の家族を応援してくれたすべての人に『ありがとうございます』と言いたいです。私自身のことについて言えば、オリンピックという目標に変わりはないですが、今は、オリンピック本番というより、ここから1年間の自分の努力を見て欲しいという気持ちが強いですね。トレーニングで力強くなったり、技術的に上達したり、その進歩を見て欲しいです」
BMXレーシングという競技にただひたむきに打ち込もうという決意。幼い頃から助け合ってきた魁との“共闘”が続く限り、爽はどんどん強くなっていく。