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バイエルンが頼った敏腕スカウト。
川田尚弘が日本で中高生を探す理由。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2020/06/17 11:30

バイエルンが頼った敏腕スカウト。川田尚弘が日本で中高生を探す理由。<Number Web> photograph by AFLO

バイエルンがどこにも負けないクラブを目指す以上、どこにもいない選手を自分たちで教育する必要があるのだ。

日本ではマイナスに見られる特徴も。

 川田は日本人選手の長所をこう見ている。

「やはり規律、真面目さ。これらが日本人の素晴らしい長所ということは変わりません。日本では『言われたことしかできない』と捉えられがちですが、ドイツでは『言われたことをすぐできる』、『言われたことをブレなく、しかもある一定の質を保ちながらやってくれる』と評価される。

 性格的にムラがあると日本では嫌がられますが、ドイツでは気の強さがプラスに作用するケースが多い。原口元気選手がいい例ですよね。日本でネガティブと見られる部分を海外では時にポジティブに捉えてもらえるんです」

頂点につながるルートは多い方がいい。

 今後、バイエルンは日本各地でサッカーキャンプを開催し、タレントを発掘していく予定だ。

「バイエルンは毎年ミュンヘンで『FCバイエルンユースカップ』を開催しています。そこへの出場につながるグラスルーツのキャンプを全国で行う予定です。『FCバイエルンユースカップ』に出場できるのは中学生年代のみなのですが、継続的にバイエルンの指導メソッドに触れて欲しいという思いから、キャンプは小4から中3を対象にする予定です。

 基本的な考えとしては各キャンプから選手を選抜して国内で大会を行い、そこからさらに10人前後に絞り、『FCバイエルンユースカップ』に日本選抜として遠征します。指導者交流の観点からもニーズがあれば本プロジェクトに招待し、場合によってはバイエルンの施設視察や育成スタッフら関係者とのディスカッションを取り入れることも考えています。

 選手の成長には普段の環境が大切なので、様々なカテゴリーの指導者や親御さんたちと積極的に情報交換をしていきながら、少しでも日本サッカーの発展に貢献したいと考えています」

 日本サッカー界にとって、頂点につながるルートは多ければ多いほどいい。多様性はときに想像を超えた種を生み出す。バイエルンが切り拓くルートによって、新たな怪物が日本から生まれるかもしれない。

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