Number ExBACK NUMBER
クラブ最強は読売かヴェルディか?
与那城の衝撃と幻のアモローゾ。
text by
加部究Kiwamu Kabe
photograph byAFLO
posted2020/06/10 18:00
1人の選手がクラブのカラーを決めてしまうことがある。与那城ジョージはヴェルディにとってそういう選手だった。
ブラジル、イタリア、ドイツで得点王に。
伝え聞くところでは、アモローゾ自身はすっかり日本贔屓になり「オレをブラジルに帰したら、向こうで代表に選ばれてしまうよ」と訴えたそうである。
結局1993年にグアラニに復帰するとブラジル選手権で、さらにはイタリア、ドイツと3カ国のリーグで得点王になり、6年後に来日した時には代表戦で日本のゴールに先制点を叩き込んだ。
その後もドゥンビア(柏から欧州へ渡り2カ国で4度の得点王)、フッキ(Jの3クラブでプレーし、欧州進出後にブラジル代表)、パク・チソン(京都からPSV、マンチェスター・ユナイテッド)など、Jリーグを基盤とした出世物語は連なるが、これほどの大化けは例を見ない。
翌'94年にはサテライトの仲間たちも次々にトップチームで起用されているので、もう1年間留まっていれば驚愕の足跡が残り、そこがヴェルディの最高到達点になっていた可能性もある。だが改めてアモローゾ自身のスケールを考えれば、それは遠回りでしかなかったに違いない。