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「マイナー選手の解雇ゼロが重要」
苦境ロイヤルズが放つメッセージ。
posted2020/06/05 07:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
Getty Images
依然として公式戦の開幕が不透明な米球界で、5月末からマイナーリーガーの大量解雇が始まった。ダイヤモンドバックスが、通算107勝の36歳右腕エドウィン・ジャクソンら約60人との契約を打ち切ったのをはじめ、マリナーズが50人以上、ヤンキースが45人と、大多数の球団が傘下のマイナーリーガーを解雇した。
本来、春季キャンプ中や開幕前、さらにドラフト直前のこの時期に人員整理が行われるため、今回の動きを「ノーマル」と表現する声も、一部にはある。確かに、20人に解雇通告を行ったジャイアンツなどは、例年通りかもしれない。
だが、他球団の場合、明らかに違う。
対応に追われる各球団。
キャンプでのオープン戦以降、経済活動が停止し、収入源を失った各球団は、その後も全マイナーリーガーに対し、1週間につき400ドル(約4万4000円)の手当を支払い、援助を続けてきた。ところが、その後も一向に開幕のメドが立たず、財政がひっ迫し始め、マイナーの人員整理に手を着けざるを得なくなった。大量解雇後、ツインズなどがマイナーリーグの最終試合予定の8月末まで支払いを継続する方針を決めた一方で、アスレチックスは全マイナーリーガーへの支払いを5月末で停止するなど、各球団とも対応に追われている。
もっとも、アスレチックスの場合、8月末までマイナーリーガー200人に手当を支払ったとしても、推計で約100万ドル(約1億1000万円)。オーナーのジョン・フィッシャー氏の資産は20億ドル(約2200億円)と見込まれており、あまりに非情な措置に批判の声も聞こえてくる。