スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
マイナーリーグと生き残り対策。
米国「草の根野球」を守って欲しい。
posted2020/06/06 09:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
大リーグが揺れつづけている。短縮シーズンの開催案をめぐって、オーナー側と選手会側の意見が合わない。
当初は年間82試合案が有力だったものの、オーナー側が大幅な年俸削減案を提示したために選手側が反発し、10月末までレギュラーシーズンを延ばして114試合にするのはどうかという対案を出した。
こうなると、ワールドシリーズの開催が12月にずれ込み、インフルエンザの流行期と重なってしまう。
もしそこで新型コロナウイルスの第2波や第3波が襲ってくると、恐ろしい事態の到来も覚悟しなければならなくなる。
オーナー側の「年間50試合」という奇っ怪な提案。
オーナー側が超富裕層なら、大リーグのスター選手も億万長者だ。ビリオネア対ミリオネアの主導権争い。どう見ても白ける構図だが、ここへ来て、オーナー側は「年間50試合」という奇っ怪な提案を持ち出してきた。
これは理解に苦しむ。そこまで短くされたら、大半の選手は調整や実戦の負担を不条理に感じて、参加を辞退するにちがいない。
もしかすると、これは「今季中止」の布石ではないのかという疑いも兆してくる。金持ち同士が、伏魔殿の内部で、化かし合いに似た駆け引きをつづけるのなら、われわれもしばらく静観せざるを得ない。
その一方で、マイナーリーグ・ベースボール(MiLB)の今季開催中止が、ほぼ決定的になった。
こちらは胸が痛む。資本の規模が小さいこともあるが、映画や演劇のミニシアター、あるいはライヴハウスが長期休業に追い込まれているような印象を覚える。