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ロベカルの超絶FKとブラジル代表。
夢の1997年とフランスW杯の失望。
posted2020/06/03 08:00

ロベルト・カルロスといえば「あのFK」である。それは1997年、フランスW杯前年の出来事だった。
text by

戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
サッカーW杯で優勝するには、何が必要だろうか。
過去21回のうち6回は、開催国が優勝している。欧州で行われる大会では欧州のチームが、南米が舞台の大会では南米のチームが、頂点に立つという歴史も長く続いた。チームの実力が拮抗していて、実績と経験でも差がない対戦では、ホームアドバンテージやそれに近いサポートがポイントになってくるのかもしれない。
ケガ人を出すことなく、ベストメンバーで臨むのは大前提だ。タイミングも大事だろう。4年に1度というW杯開催のサイクルにチームのピークが合わず、世界チャンピオンの称号を得られなかった強者は少なくない。
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1998年のフランスW杯に出場したブラジルも、タイミングに恵まれなかったチームのひとつである。
連覇こそ逃したものの準優勝しているのだから、「ピークを逃した」との表現は当てはまらないかもしれない。そのうえで言えば、1年前にW杯が開催されていたら、かなりの確率で優勝していたに違いない。
ロベカルは24歳、ロナウドは20歳。
ブラジルがそのポテンシャルを示したのは、1997年6月に行われたトゥルノワ・ドゥ・フランスだ。フランスがプレW杯の位置づけを持たせた4カ国トーナメントに、イタリア、イングランドとともに招待された。
6月3日の開幕戦で、ブラジルはフランスと対戦した。GKタファレル、DFアウダイール、カフー、MFドゥンガ、マウロ・シルバ、FWロマーリオらの1994年W杯優勝メンバーに、当時24歳のロベルト・カルロスと20歳のロナウドが加わっていた。アメリカW杯に左サイドバックで出場したレオナルドは、本来の攻撃的なMFの役割を担っている。多士済々の選手を束ねるのは、名伯楽マリオ・ザガロである。