フランス・フットボール通信BACK NUMBER
妻はキリスト教で夫はイスラム教。
コートジボワール代表監督夫婦の情熱。
text by
フランク・シモンFrank Simon
photograph byPhotos Facebook Federation ivoirienne de football
posted2020/06/02 19:00
トゥーレ(写真左端)はキリスト教で、夫のスアリオはイスラム教を信じる。夫婦はコートジボワールの国家イメージも体現しているのである。
実力でもぎ取った、母国女子代表監督の座。
彼女は、現役時代にコートジボワール代表として22キャップを重ね、引退後はCAF(アフリカサッカー連盟)とFIFAのインストラクターとなり赤道ギニア女子代表監督に就任。
2008年のアフリカ選手権で同国をアフリカチャンピオンに導いた後、2010年に母国コートジボワール女子代表監督に就任し、2014年のアフリカ選手権では3位に入賞して翌2015年カナダワールドカップの出場権を獲得した。
一方、夫はコートジボワールでも評判の高い育成コーチであり、U-20代表監督を長く務めた後に、昨年11月には同国五輪代表を率いてアフリカ予選を突破して東京五輪出場権を獲得している。
コートジボワールが五輪本大会に出場するのは、ベスト8に進んだ2008年北京大会以来12年ぶり2度目という快挙であった。
サッカー指導者だけで生計を立てているわけではない。
サッカーの世界でふたりの名前は知れ渡っている。だが、私生活は慎ましく、ひとたびスタジアムを離れると周囲の人々に埋もれてまったく目立たない。
ともに多忙で、なかなか同時に休みが取れないのが玉に瑕だが、最近だと数カ月前のバレンタインデーの時に、ようやく一緒に過ごす時間を得られたくらいだという。
「ずっと前からこの日が休日だとわかっていたから、ふたりで楽しみにしていた」とトゥーレは言う。
しかし束の間の休息も長くは続かなかった。
彼女は翌日には女子代表合宿のためモロッコに向かわねばならず、同様に夫のスアリオも、家庭があるアビジャンから車で4時間(270km)の街ガニョアのリセで、体育の授業を臨時で受け持たねばならなかった。
内実を明かせば、ふたりはともに100%サッカーで生計を立てているわけではなかった。