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イタリアでサッカーは特別なのか?
コロナ禍で思い出すサッキの名言。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/05/29 11:30

イタリアでサッカーは特別なのか?コロナ禍で思い出すサッキの名言。<Number Web> photograph by Getty Images

トレーニング場に車で現れたクリスティアーノ・ロナウド。イタリアでサッカーは特別なのか。その議論は続きそうだ。

石川祐希が在籍するバレーは……。

 CONIの2017年度統計によれば、イタリアには大小あわせて44の競技連盟があり、6万9663ものクラブ法人が登録されている。

 登録下の総選手数はプロ、アマ、ジュニア年代合わせて470万3741人。これに指導者や審判、大会運営業などを加えると、恒常的にスポーツに従事しているイタリア人の数は565万人に上る。これは、3歳以上の国内総人口の9.6%を占める数字だ。

 マラゴー会長にしてみれば、救うべきはすべてのスポーツファミリーだ。SNSでの匿名のつぶやきならともかく、国内スポーツ界のトップによる言葉だから無碍にはできない。

 日本代表の石川祐希選手がプレーするバレーボールのセリエAは4月8日、バスケットボール界も前日7日に順位を凍結して、優勝タイトルも昇降格もなくシーズンを終了する決定をそれぞれの連盟権限で早々に下した。

 ただし、バレー界にはしこりも残る。シーズン終了を決定したFIPAV(伊バレーボール連盟)の強硬姿勢に男女セリエAリーグ機構会長が反発し、両者は抗議のために辞任した。

 リーグ戦中止の煽りで経営に行き詰るクラブが続出。名門モデナはリオ五輪で銀メダルを獲得したイタリア代表イバン・ザイツェフへ、来季以降の年俸55万ユーロ半減を願い出たものの受け入れられず、ザイツェフはロシアのクラブへ泣く泣く旅立った。

 彼の妻が残した「今季すでに年俸の3割カットされ、来年以降5割も減らされたら自宅ローンが払えない」という叫びが切ない。

 選手もクラブも逼迫する事態となっている。バレー界も他の競技連盟もイタリア政府へ来季以降の再建プランを示しながら、財政支援をいち早く訴えている。

サッカーの実質的競技人口は460万人。

 先述のCONI統計によれば、イタリア人にとってサッカーは特別だ。

 FIGC(伊サッカー連盟)に登録する選手の数は、国内競技最多の105万6824人。

「実質的な競技人口は460万人に達して、国内スポーツ人口の23%を占める。関心がある層は国内2800万人。サッカーは社会へ大きな影響を与えると考えられる」(2018年度版連盟報告より)。

 2位のテニスで登録数は37万人強。登録者比率は8.4%となるから、普及度で文字通り桁が異なるのだ。これに団体球技のバレー(33万人強)、バスケット(32万人弱)が続く。ちなみに、CONI管轄下で登録選手数が最も少ないマイナー競技は水上パワーボートである。

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アリゴ・サッキ
石川祐希

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