話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
「やべっちF.C.」の19年と未来。
「Jリーグにこれからも恩返しを」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTV asahi
posted2020/05/10 20:00
周りのキャスターやアナウンサーが変化しても、ゆるめの雰囲気が続くのも矢部さんの個性なのかもしれない。
矢部を見つけると、選手の方から来てくれる。
――中野さんが矢部さんと一緒に仕事をして一番印象に残っているのは?
「ロシアW杯最終予選、埼玉スタジアムで行われたオーストラリア戦、矢部さんと一緒に行ったんです。井手口(陽介)選手がゴールを決めて勝った後、矢部さんにミックスゾーン(選手取材エリア)に来てもらって、選手をインタビューしようとしたんです。そうしたら選手の方から矢部さんのところに来てくれるんですよ。
普通、声かけないと素通りしていくし、止めて話を聞くこと自体けっこう大変だったりするじゃないですか。でもみんな、矢部さんのところで足を止めて、楽しそうに話をしてくれて……。井手口選手は、『子供の頃から見ていました』って話をしていて、なんかそういう選手が代表になり、日本を背負って試合に出ているんだというのを見ていたら感慨深いものがありました。これは矢部さんのパーソナリティと番組の歴史があるからなんだなぁとつくづく思いましたね」
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――中野さんが今後、出演してほしい選手はいますか。
「久保(建英)選手ですね。レアル・マドリ―の中井(卓大)くんは、小さい頃から『やべっち.FC.』の番組に遊びにきてくれていたんですが、久保選手とはまだ接点がないんです。矢部さんと久保選手がどんな話をするのか、どんな絡みになるのか、個人的に楽しみです」
Jリーグアウォーズにも2年連続登場。
企画の面白さ、そして長年Jリーグを含め日本サッカー界への貢献が評価されて、2018年、矢部氏はJリーグアウォーズのMVPのプレゼンターとして登壇した。昨年のJリーグアウォーズでは総合司会を任され、日本サッカー界にまたひとつ大きな足跡を残した。ちなみに番組にも独自の選定をする「やべっちF.C.アウォーズ」がある。
――JリーグアウォーズのMVPの選手とかぶったりしないんですか。
「けっこうかぶりますね(苦笑)。でも、うちの場合は優勝チームからだけじゃなくて、優勝できなかったけど、活躍が目立った選手とか、番組なりに考えて矢部さんの意見も交えて決めています。
うちのMVPで一番印象に残っている選手は、2009年の中村憲剛選手です。『タイトルを獲れなかったけど、賞をもらえてよかった』とすごく喜んでくれたので自分たちもなんかうれしかったですね」