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2008年の長谷部誠に感じた言葉力。
その優しさを今、改めて実感する。
posted2020/04/22 20:00
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
ドイツ・ブンデスリーガは、新型コロナウイルスの影響で中断しています。5月初旬に無観客試合でのリーグ再開を目指すとの報道もありますが、相手は目に見えない敵であるウイルスですから、日々移り変わる状況を鑑みて適宜判断しなければなりません。
ドイツ国内がロックダウン(都市封鎖)中のいま、フランクフルトに住む僕は食料品の買い出し以外は外出せず部屋で過ごしています。でも、ここ1カ月間のフランクフルトは快晴が続いているので、思ったよりも気分は落ち込んでいません。
最近は20度を越える日が多くなり、散歩などでの単身外出は認められているので、今後も気持ちを落ち着けて、終息を待ち望みながら生活を続けていく所存です。
こんなときですから、昔のことを思い出したりします。
2008年、浦和からブンデス移籍。
2008年1月1日、浦和レッズに所属していた長谷部誠がドイツ・ブンデスリーガ1部のVfLヴォルフスブルクへ完全移籍しました。
浦和時代の長谷部を取材していた僕は当然、彼のドイツでのゲームを観てみたいという欲求に駆られました。そこで2008年9月にドイツへ飛び、彼が所属するクラブのホームタウンであるヴォルフスブルクという街へ向かいました。
それ以前にもドイツで取材をした経験はありましたが、赴いた場所はレバークーゼン、ドルトムントなどでした。初めてのヴォルフスブルクなので事前に行程を調べましたが、これがなかなか難儀なところにありました。
あの当時は東京から直行便が出ているフランクフルトまで行き、そこからドイツ鉄道で約3時間を掛けて目的地へ向かうしかありませんでした。調べたところ、新幹線「のぞみ」の、東京から岡山までの所要時間(3時間13分)と同じです。
日本の交通網の素晴らしさは、所要時間に「約」という文字が付かないことです。日本のダイヤは秒刻みで管理されていて、ほぼ正確。時間通りに目的地に着きますよね。一方、ドイツ鉄道はヨーロッパのなかではまともと言われるのですが、それでも20分や30分、ときには1時間以上遅延することもあります。
ちなみに僕は、ベルリンからケルンまで通常約4時間20分で着くところを4時間遅れて、8時間以上掛かった経験をしています。まあ、現在はそれが日常的だと認識しているので、それほどストレスは感じなくなりました。