楽しい“無駄話”と近鉄への愛情。

　関根の解説で楽しいのは“無駄話”だった。試合がだれてきて、アナが話を向けるとほいほいしゃべった。

アナ「今は、選手もずいぶん真面目になりました」
関根「そう、選手の門限はここ10年くらいでほんとに厳しくなりましたよ。我々の頃はもっと大らかだったね。だいたい、今の監督やコーチは自分たちの若い頃を思い出してみろって。僕もそうだったけど、今なら絶対に首になるって」

アナ「門限は守らなかったんですか」
関根「いえいえ、僕は時間には厳しかったから門限は守りましたよ。夜11時が門限だったから、その時間には寮に必ずいたんだ。で、12時過ぎるでしょ、そしたらもう日が変わりました、早起きしましたってことで、そこから外出したんだ、ね、スジは通ってるでしょ」

アナ「夜は強かったんですね」
関根「そう、だけど現役時代は午前中は死んでましたねえ」

　そんな関根が烈火のごとく怒ったことがある。

　2004（平成16）年、近鉄バファローズの身売りに端を発した球界再編問題のときだ。

アナ「近鉄は、観客動員でも、チーム力でもぎりぎりのチームでしたからね」
関根「何を！　近鉄がぎりぎりのチームだって？　ふざけんじゃねえ！」

　関根は長く近鉄OB会の会長を務めていたのだ。

小西得郎も関根も洒脱で粋だった。

　こういうタイプの解説者、1950年代から解説者を務めた小西得郎以来だろう。小西は、巨人の捕手、藤尾茂の股間にボールが当たった時に

アナ「こともあろうに、打球は藤尾の……（言葉に詰まる）」
小西「股間に当たりましたね。なんと申しましょうか、御婦人にはわからない痛さでしょうね」

　とやったものだ。

　小西も関根も江戸っ子だ。軽妙で、洒脱で、粋だった。

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