プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ヤンキース本拠地デビュー、満塁弾。
松井秀喜、4月8日の知られざるツキ。
posted2020/04/08 20:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Al Bello/Getty Images
4月8日には野球記者として特別な思いがある。
これまで何千本というホームランを見てきたが、その中でも3指に入る……いや、ひょっとしたら一番、興奮したかもしれない1本を見たのが、この4月8日なのである。
2003年。舞台はニューヨークのブロンクスにあった旧ヤンキースタジアム。
そこでこの年、巨人からニューヨーク・ヤンキースに移籍した松井秀喜外野手が記録した、ヤンキースのルーキー史上初の本拠地開幕戦での満塁本塁打という一発だった。
ニューヨークは異常寒波による大雪。
この年のヤンキースは3月31日にトロントでシーズンを開幕。
トロント・ブルージェイズを相手にした開幕戦に「5番・レフト」で先発した松井は、メジャー初打席となる初回にレフト前にタイムリーヒットを放って初打席、初安打、初打点を記録した。
打った相手はその後に松井が「メジャーで最も手強いと感じた投手」と言ったロイ・ハラデー(2017年に自家用飛行機の墜落事故で死亡)だった。
そしてこのトロントでの開幕シリーズ3試合を終えると、今度はフロリダのタンパでデビルレイズとの3試合を行う。
ただこの3試合を終えた4月6日にとんだアクシデントが起こったのである。
タンパでの3戦目を終えて本拠地のあるニューヨークに戻った翌7日からは、ミネソタ・ツインズを迎えて本拠地開幕シリーズが始まる予定だった。
しかしこのときニューヨークが異常寒波による大雪に見舞われて、結果的には7日のホームオープナーゲームは順延となってしまった。そうして改めて仕切り直しとなったのが、翌8日のこの試合だったのである。