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2016年4月4日、高校1年生で日本新。
池江璃花子、衝撃の泳ぎと溢れる涙。

posted2020/04/04 11:50

 
2016年4月4日、高校1年生で日本新。池江璃花子、衝撃の泳ぎと溢れる涙。<Number Web> photograph by KYODO

2016年の競泳日本選手権、女子100mバタフライで優勝し、感極まる池江璃花子(手前は星奈津美)。

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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KYODO

 今なお、その衝撃は忘れがたい。

 2016年、4月4日から10日にかけて行なわれた競泳日本選手権での池江璃花子の泳ぎは、鮮烈のひとことに尽きる。

 この大会は、同年のリオデジャネイロ五輪代表選考会を兼ねていた。

 前年、14年ぶりに中学生として世界選手権代表選手となり注目を集めた池江は、高校1年生となって迎えた大会で、期待に違わぬ、いや、それにはとどまらない成長を示した。

 4月4日の大会初日、100mバタフライ準決勝。午前中の予選を通過して迎えたこのレースで、池江は57秒55、日本新記録(当時)をマークし決勝に進む。

 翌日の決勝。スタートから頭1つ抜け出す。50mのターンではただ1人、26秒台をマークし、前日の日本記録を0秒17上回るペースで泳ぐ。

 終わってみれば57秒71、日本記録更新こそならなかったが、五輪代表選考基準である派遣標準記録を0秒06上回り、オリンピックの切符をつかんだのである。

優勝インタビューでも止まらない涙。

 掲示板を目にしたときプールの中で溢れた涙は、優勝インタビューでも止まらなかった。

「もう、とにかく……」

 そのあとはもう、言葉にならなかった。

 それでもなんとかこらえるように、ようやく絞り出した。

「派遣標準を切ることだけをずっと目標にしてきたので」

 バタフライ決勝は、実はこの日の3レース目だった。先に200m自由形の予選と準決勝を泳いだあとだった。

 にもかかわらず、疲労をものともせずに五輪切符を手にしたのである。

【次ページ】 大会の残りのレースでも、快進撃を見せる。

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