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2016年4月4日、高校1年生で日本新。
池江璃花子、衝撃の泳ぎと溢れる涙。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byKYODO

posted2020/04/04 11:50

2016年4月4日、高校1年生で日本新。池江璃花子、衝撃の泳ぎと溢れる涙。<Number Web> photograph by KYODO

2016年の競泳日本選手権、女子100mバタフライで優勝し、感極まる池江璃花子(手前は星奈津美)。

大会の残りのレースでも、快進撃を見せる。

 リスクを考えれば、バタフライに集中する手段もあった。

「200m自由形と2種目やるかどうか迷いました」

 池江も言った。でも、挑んだ。

「今になって、間違いではなかったなと思いました」

 笑顔を見せた。

 活躍は、バタフライとどまらなかった。

 大会の残りのレースでも、快進撃を見せる。

日本史上初の7種目でリオに臨む。

 200m自由形は1分57秒39の高校新記録で優勝し、800mフリーリレーの代表権獲得に貢献する。

 100m自由形決勝では、54秒06で2位になって400mフリーリレーの代表権も獲得。

 最終日の50m自由形決勝は、大会で12レース目にもかかわらず、自己記録にあと0秒02に迫る24秒76で1位。計3つのレースで優勝を遂げて大会を終えた。

 それとともに、4種目でオリンピックの切符を手にすることになった。

 バタフライをはじめ、大会で見せたのは、スケールの大きさと将来への予感だった。

 数多くの種目を泳ぎ、好成績を残したタフネス。レースのたびに見せる表情と言葉からは、泳ぐことが好きであることがはっきりと伝わり、その前向きな姿勢は泳げば泳ぐだけ伸びるのではないかと思わせた。レースでの大きな泳ぎもまた、強い印象を放った。

 それらが合わさって、明確に、豊かな未来を思わせたのである。

 日本選手権後の大会での活躍もあり、のちに池江は他の種目でもオリンピックに出場することが決定する。

 結果、日本選手としては史上初となる7種目でリオに臨むことになった。

【次ページ】 病との戦いも、池江の前向きさそのままに。

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