熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
伝説の86年W杯ブラジル対フランス。
ジーコ、プラティニとサッカーの美。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph bySports Illustrated/Getty Images
posted2020/03/31 11:00
両チームの名手、ジーコとプラティニがPKを失敗する。そのドラマ性もまたこの一戦を美しくした。
それでもブラジル対フランスだった。
優勝したアルゼンチンとマラドーナのスーパープレーも素晴らしかったが、この大会で最も印象に残ったのは、やはりグアダラハラでのブラジル対フランスだった。
大会後、メキシコからほぼ陸伝いに南下してブラジルにたどり着き、リオのマラカナン・スタジアムで試合を見た。一度は日本へ戻ったがブラジルの国や人々、そしてフットボールが忘れがたく、この年の末にサンパウロへ渡った。
やがて日本の新聞や雑誌にブラジルのフットボールについて記事を書かせてもらえるようになり、1986年W杯に出場したジーコ、ソクラテス、セレーゾ、テレ・サンタナ監督らにインタビューすることもできた。
その度に、1986年のブラジル対フランスを思い出した。
その後の人生を変える一因ともなったこの試合は、間違いなく私にとっての「1番」だ。
それでも、いつかこれを超える試合を見ることを夢見ながら、ブラジルと南米のフットボールを追い続けている。