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高校生Bリーガー河村勇輝、卒業の辞。
「バスケットをもっとメジャーに」
text by
古川明Akira Furukawa
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2020/03/24 11:50
高校生Bリーガーとしてインパクトあるプレーを見せた河村勇輝。東海大進学でどのような成長曲線を描くのか。
チームを勝たせる正PGにならないと。
そしてこう続ける。
「河村には運がある。世代別の代表に入って、高校日本一になり、B1も経験して東海大に進む。B1入りに関しては、これまではなかったこと。過去の教え子に私が『卒業のお土産』として渡せなかったということもあるけど、どれも自分の努力でつかんだもの。どこにもマイナスイメージがなく、関わったすべての人の利になる存在なんだ」
B1でプレーするようになりメディア露出も増したが、父・吉一さんから「スターじゃないんだよ。いち高校生なんだよ」と諭され、自身もその振る舞いに気を配る。日本代表入りの可能性についても冷静に受け止めている。
「チャンスをもらえるようにアピールはしていきますけど、まだまだ。B1を経験して、日本を背負える実力が今はないと感じた。代表入りするからには正PGとしてチームを勝たせる選手になってからでないと」
「自分を通じて興味を持って」
輝かしい実績を残した高校3年間はもう過去となった。4月から大学バスケット界屈指の強豪・東海大に進学する。B1クラブ以上とも言われる恵まれた環境で、課題ととらえているフィジカル強化に取り組む。彼を突き動かすのは「バスケットをもっとメジャーにしたい」という強い使命感だ。
昨年9月のワールドカップは5戦全敗で32チーム中31位に終わった。八村塁がNBAのワシントン・ウィザーズに入団して活躍するが、「野球やサッカーに及ばない。バスケットを知らない人も自分を通じて興味を持ってもらえたら。日本代表が強くなれば発展していく」。
高校3年時の大会プロフィールには身長172cmとある。167cmの富樫からは会うたびに「身長、盛っているでしょ」と茶化されるという。ただ、「小さい選手が活躍した方がインパクトを残せる」と、どこまでも前向きだ。18歳の小さな背中は、日本バスケット界の未来を背負うべく、日に日に大きく逞しくなっている。