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高校生Bリーガー河村勇輝、卒業の辞。
「バスケットをもっとメジャーに」
text by
古川明Akira Furukawa
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2020/03/24 11:50
高校生Bリーガーとしてインパクトあるプレーを見せた河村勇輝。東海大進学でどのような成長曲線を描くのか。
富樫さんのように日本を背負って。
やがて、プロ入りを明確に口にするようになっていた。
そして、昨年11月のWC福岡県予選決勝では、福岡大大濠高を倒した直後、観客を前に「富樫勇樹さん(千葉ジェッツ)のように、体は小さくても日本を背負って世界と戦っていけるようになりたい」と宣言。理想は「試合を支配できる選手」だ。出場する試合を自在にコントロールする「日本一のPG」になった先にはNBAも見据える。
今年1月から挑戦したB1での活躍ぶりは衝撃的だ。
デビュー戦となった1月25日の千葉戦で、自分のプレーが通用する確信を得た。同じく千葉との2戦目ではその富樫勇樹とマッチアップし、いきなり21点。3戦目の新潟戦も元日本代表の五十嵐圭から「狙って」4点プレーを決めてみせた。リーグ中断前の3月15日時点で、1試合平均12.6得点、3P成功率は37.3%。トランジションと3P、粘り強い守備は、日本のトップカテゴリーでも十分通用することを証明した。
ラマスHCも代表入りの可能性を示唆。
もっとも、河村を3年間見守ってきた監督に驚きはなかった。
「3年夏の時点でB1でも通用すると思っていた。実際、(B1の試合で)河村の速攻についていけていない場面が目立っていたほどだからね。仲間のことを考えすぎず、自分のプレーをすればいいと伝えましたよ。もっとやれる。プロは出場時間をシェアするようだけど、長い時間出してほしい」
また井手口監督と親交が深く、女子日本代表元HCで浜松・東三河フェニックス(現三遠)のHCも務めた中村和雄氏は「東京五輪代表に選ばれるべき」と若い才能への期待を隠さない。日本代表のフリオ・ラマスHCも代表入りの可能性を示唆している。
近い将来の代表入りについて、井手口監督の見立てはより現実的だ。
「いまの大学やB1はハーフコートオフェンス主体のチームが多い。セットオフェンス中心なら、あの身長は厳しかったかもしれない。でも日本代表が世界に対抗するにはトランジションと3Pが欠かせないはず。そのスタイルを確立する上で河村のスピードを使わない手はない。女子代表には『これがジャパンだ』というものがある。男子も世界をうならせるものがないと」