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高校生Bリーガー河村勇輝、卒業の辞。
「バスケットをもっとメジャーに」
posted2020/03/24 11:50
text by
古川明Akira Furukawa
photograph by
Naoki Morita/AFLO SPORT
高校卒業を前日に控えた2月29日、河村勇輝はチームメートたちと3年間汗を流した福岡第一高の体育館にいた。
1月から特別指定選手としてB1リーグの三遠ネオフェニックスに所属しており、卒業式には出られないはずだった。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためリーグ戦が中断され、高校側も体育館での卒業式を取りやめたことにより、急きょウインターカップ(WC)を制した3年生と新チームによる送別ゲームが実現。河村は負傷を避けるため、ヘッドコーチを任された。
「井手口(孝)先生から真剣勝負と言われていたんですけど、みんなの出場時間も考えながらやりました」
仲間たちとはしゃいだ時間は格別だった。直後の卒部式で「お互い違う道に進んで、その場所で花を咲かせられるように頑張りたい。Bリーグやオリンピックに出てみなさんを招待できるようにします」と周囲に感謝の気持ちを伝え、高校生活を笑顔で締めくくった。
「身体能力はまねできないけれど」
高校入学当初は「いずれは教員や公務員になろうかな」と考えていた。しかし結果を出し続けるうちにその思いは変わっていく。
井手口監督の「一緒に日本一になろう」を合言葉に、夏場には多い日は1000本決めるまでシューティングを続けた。ステップバックやクイックリリースなどテーマを決めながら黙々と打ち続ける姿は、恩師が「お金を払ってでも見る価値がある」と称えたほどだ。
2年冬にWCを制すると、3年夏にはアメリカでワークアウトも経験。本場の同世代のガードと接して身体能力の違いを見せつけられた。ハンドリング、ドリブルの力強さも彼らに比べて劣っていると感じさせられた。
「身体能力はまねできないけれど、それがない中でのスピードの生かし方や、テクニックで通用することを示したい」