猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス宜保翔の活躍が「収穫」。
コーチも驚く打撃技術と素人っぽさ。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/03/21 09:00
オープン戦では7試合スタメン、全12試合に出場し、打率は.344。開幕一軍へ猛アピールした。
OP戦11位も、宜保の活躍は収穫。
オープン戦で、オリックスは3勝8敗2分の11位に終わった。特に最後の阪神との3連戦は、得点チャンスをなかなかものにできず、守備のミスから失点を招き、投手も踏ん張りきれないなど課題だらけ。西村監督は、「やらないといけないことがたくさんある」と渋い表情でオープン戦を総括したが、その中でも、収穫に挙げたのが宜保の活躍だった。
「しっかりしたものを出してくれた。宜保がこれだけの結果を出してくれたことで、二遊間をどうしていくかという悩みがある。開幕までまだまだ競争ですが、宜保が一軍でなんとか使えそうになったというところは収穫じゃないかなと思います」
まだ高卒2年目の19歳。しかも、甲子園出場経験のあるような名門校出身というわけではない。
宜保は、KBC学園未来高校沖縄の出身。野球部は2015年に創部されたばかりで、宜保はその2期生である。1年生の頃はまだグラウンドがなく、練習は転々と、あちこちの球場を借りて行なった。
創部したばかりの高校でも、不安はなし。
小学2年の時に野球を始めた宜保は、プロ野球選手になるという夢を抱いていた。高校入学にあたっては、強豪校からの誘いがないわけではなかったが、創部したばかりのKBC学園未来高を選んだ。
「楽しそうだな、と思ったので。高校野球らしくない、と言うとちょっと違うんですけど、今までと違う感じのチームだったので、入りたいなと思いました」
まだ実績のない高校に進むことへの不安は、「まったくなかった」と言う。
「自分のやりたいことをサポートしてくれるという方針だったので。実際に、これやりたい、あれやりたいと言ったことをサポートしてくれたので、自分には合っていたと思います。自分は、技術よりもまず、走る体力とか、飛ばす力とか、強く投げることとかを身につけたいと思ってやっていました」