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小笠原満男&ジーコの育成論・後編。
「今の選手は誰かを探してしまう」
text by
池田博一Hirokazu Ikeda
photograph byToru Hiraiwa
posted2020/03/13 11:35
ブラジルの「遊びながら学ぶ技術を高める工夫」に驚いたと話した小笠原。“サッカー卓球”で小笠原vs.ジーコが実現する?
メッシは1対1で仕掛けている。
ジーコ 攻撃の選手であれば、まずは仕掛けていかないと話にならない。向かっていくことで、相手に怖さを与えるわけであって、その怖さは練習でしか作り上げることができない。1対1、2対2とかの練習で、どんどん相手に向かっていく姿勢を作っていかないといけない。
最近ではGKと1対1になって、かわす場面というのは少なくなってきている。まあ、それはGKのサイズが大きくなったこともあるし、守備範囲が広くなったという部分もあるでしょう。でも、今のほとんどの選手は、GKを見た瞬間にもうシュートを打ってしまう。
小笠原 言われてみれば、たしかにそうかもしれないですね。
ジーコ 1対1になったときに武器がない。今の選手を見ていて非常に残念に思うのは、ボールを受けました、1対1の距離になっています、そこで、向かっていかないんだ。まず、行こうとはするけれど、1回ボールを止めて、誰かいないか探してしまう。じゃあたとえば、今ヨーロッパで得点王になっている選手を見れば、メッシ、C・ロナウド、アザールだったりは、ほとんどが1対1で仕掛けて得点している。
小笠原 もっと仕掛けていく姿勢はもちろん、技術的な練習をやっていく必要があるんですよね。技術的な練習でいえば、ブラジルに行ったときにfutmesa(フットメーザ、サッカー卓球)はすごくいいなと思いました。
「小さい方は自分で作りました」
ジーコ 今度、futmesaで勝負しようよ。アントラーズのクラブハウスにも大きいのと小さいのがあったよね?
小笠原 大きいのはスタッフと相談して作ったんですよ。小さい方は、自分で作りました。小さい子どもはあれぐらいの方がいいかな、と思って。
ジーコ じゃあ、ブラジルの家に持って帰ろうかな。
小笠原 ハハハ。本当に欲しいなら作りますよ。
ジーコ 孫用だよ。大きいのはうちの庭ではできないけれど、小さいやつだったら家で1対1ができるからね。作ったら詳細に写真を撮ってよ。で、製作者の名前を入れて、今度ブラジルに帰るときに持って帰ろう。あれは釘打ち? ネジ?
小笠原 初めは釘でやったんだけど、はがれやすいから、今はネジで作っています。もう4台作りましたよ。
ジーコ ルールは知っているかな? ペアで、1回の攻撃でスリータッチまで。サーブをそのまま返してはいけない。で、サーブはヘディング。まぁ、足でもいいんだけど、だんだんヒートアップすると、変なボールをサーブで蹴り始めるからね。僕のSNSでやっている番組(Canal Zico 10)のルールでは、最初だけはちゃんとやさしくすることをルールにしているよ。