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秋山翔吾が抜けた西武の外野手争い。
森友哉と通ずる川越誠司の貴重な才。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2020/03/05 07:00
昨季は一軍出場はなかったが、イースタンリーグで8本塁打を記録した。
「バットを振るとスッキリする」
「打者登録になったのが昨年だとはいえ、入団してもう5年目です。今年は最後のチャンスだと思っているので、まずは一軍キャンプのメンバーに選ばれて、いいスタートは切れたと思います。あとは結果を残して、開幕一軍ベンチに入りたいですね」
故障で投げられなかった時期は、「気分転換のため」に、ロングティー打撃の居残り練習に加わったり、深夜に1人、室内練習場の打撃マシンで打ち込んだこともあった。「バットを振るとスッキリする」と笑う川越にとって、打者転向の決断が精神的にも良い刺激となったのだろう。
昨シーズンは一軍出場こそなかったものの、イースタンリーグでは8本塁打を記録するなど、可能性を感じさせる結果を見せた。そして迎えた12月、参加した台湾ウィンターリーグで打率.367を記録。3本塁打、21打点は大会1位の記録で、野手部門のMVPに輝いた。
「ウィンターリーグのレベルは日本の一軍とはもちろん違いますけど、それでもああやって賞をもらったことで、ライオンズの首脳陣に注目してもらえて、一軍キャンプ入りのチャンスをもらえたのかもしれない。その点は結果を出せてよかったと思っています」(川越)
初球にタイミングを合わせて振れる。
打者・川越について赤田将吾打撃コーチは語る。
「いいところは思い切りがあるバッティングですね。初球からしっかり振って、初球でもパチンとタイミングを合わせる能力がある。初球を思い切り振るっていうのは、ずっと打者としてやってきた選手でもなかなかできないこと。森友哉もそうですが、たとえばピッチャーが交代しても、その初球にタイミングを合わせて振れる能力がある。相手が打撃マシンでも『一球見てみないと合わせられない』という選手が多い中、貴重な選手だと思います」
たとえば初球から思い切りスイングできれば、代打での起用でも結果を残す可能性が高くなる。代打起用で結果を残せば、次はスターティングメンバーへと、チャンスはさらに広がっていく。
「キャンプではまっすぐを狙って、そのまっすぐを打つ練習をしてきたんですが、紅白戦や練習試合でそれが出せたのでよかったのではないでしょうか。本人は自信になるし、周りの首脳陣も『いいじゃないか』と印象に残ると思う。いいアピールをしていると思います」(赤田コーチ)
今後、行われるオープン戦で結果を残せば、また一歩、開幕一軍への距離が縮まるはずだ。