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秋山翔吾が抜けた西武の外野手争い。
森友哉と通ずる川越誠司の貴重な才。
posted2020/03/05 07:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
「打者に転向した川越、いいらしいよ」
そんな噂をよく耳にするようになったのは2018年のオフだった。
2016年にドラフト2位でライオンズに入団した川越誠司は、入団前から投打ともに高い能力を持つ選手だと評判だった。しかし投手力、しかも左腕不足が課題だった当時のライオンズは川越を投手として獲得。与えられた背番号“26”に、その期待の大きさがうかがえた。
筋トレマニアで入団時に持参したものは「大量のプロテイン」。がっちりとした体格から繰り出されるMAX150kmの速球が武器だと当時の取材メモには書いてある。
ひじの故障もあり、結果が振るわず。
しかし、そんな期待の投手も、1年目は左ひじの故障に泣かされ二軍での7試合登板に終わる。翌'17年は、ひじ痛の再発と、それをかばうことで左脇腹も痛め、ほぼ1シーズンをリハビリに費やした。2018年は二軍での実戦復帰を果たしたものの、9点台の防御率に終わり、なかなか結果を出すことができなかった。
そのせいもあってか、シーズン途中からは外野手として試合に出場。秋のみやざきフェニックスリーグには外野手で出場している。
北海学園大時代、1年生の春季リーグから4番を打っていたほどの才能が、いよいよプロの世界で試されるときがきたのである。「実は入団したときも『打者で行くべきか』と悩みました」と川越は振り返るが、度重なる故障がその迷いを吹っ切る決定打となった。
2019年1月、打者転向が正式に発表される。