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涙が止まらないマイケル・ジョーダン。
コービー追悼式で告白した秘密の友情。
posted2020/03/06 20:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
ステープルズ・センターのスピーカーから、コービー・ブライアントの声が聞こえてきた。
「あるとき、歴史上で一番すばらしい選手のひとりになりたいと夢みた若いバスケットボール選手がいました」
ごく自然に、まるでコービー自身がそこにいるかのように語りかけていた。
2月24日朝10時5分、こうして、コービー・ブライアントと娘のジアナのための追悼式、『コービー・ブライアントとジアナの人生を祝う会』は始まった。
セレブが集まったが、人気で呼ばれたのではない。
コービーとジアナが、7人の同乗者たちと共にヘリコプター事故で命を落としてから約1カ月がたった2月24日。衝撃的なそのニュースを、それぞれが少しずつ受け止め、前に進もうとしているなかで、この追悼式は行われた。
会場となったのはステープルズ・センター。コービーがNBA選手キャリア20年のうち17年間をホームコートとし、様々なハイライトプレーを生み出したこのアリーナ以上に、ふさわしい場所はなかった。
試合のときにはセンターサークルとなる中央にステージが作られ、まわりに赤い花が飾られ、ステージの周囲を囲むように家族や友人たちが、そしてスタンドには抽選によってチケットを買うことができた多くのファンが、黒の喪服からコービーのユニフォームまで、それぞれ思い思いの正装を身にまとって集っていた。
司会を務めたのは、コメディアンで人気トーク番組の司会者でもあるジミー・キメル。
冒頭でビヨンセが『XO』を歌い、追悼のスピーチの合間にアリシア・キーズがベートーベンの『月光』をピアノ演奏し、最後にはクリスティーナ・アギレラが『アベマリア』を歌った。
豪華な顔ぶれだが、ただ単に人気があるから呼ばれたわけではない。ブライアント家と親交があり、妻のバネッサ・ブライアント自ら選んで依頼したと伝えられている。『XO』はコービーのお気に入りの曲で、『月光』は、コービーがバネッサへの愛を示すために独学で弾き方を学んだ曲だったというエピソードも明かされた。