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プロ野球公式戦は開幕できるのか?
コロナの実情と東日本大震災との比較。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2020/02/27 11:55

プロ野球公式戦は開幕できるのか?コロナの実情と東日本大震災との比較。<Number Web> photograph by KYODO

オープン戦の残り全72試合を無観客で実施することを決めた、プロ野球12球団の臨時代表者会議を終え、報道陣に囲まれるNPBの斉藤コミッショナー。

発売済みのチケットや年間シートの扱いは?

 もちろん公式戦の延期や無観客試合での実施には多大の損失が伴う。

 すでに発売しているチケットや年間シートの取り扱いなど付随する問題も多い。しかも今年は7月末から始まる東京オリンピックの影響で、約1カ月の中断期間がある。

 そのために開幕を前倒しし、シーズン終了も後ろに伸ばすなど変則日程を採用しているだけに、延期した際のスケジュール的な余裕もないという問題も出てくることになる。

 ただ、そうした問題を考慮した上でも、最優先的に考えなければならないのが、感染拡大をいかに防ぐかということで、拡大リスクを高める可能性のあるイベントの中止は止むを得ない。

 しかも12球団中で6球団が閉鎖型のドーム球場(一部開放型のメットライフドームを含む)を使用し、屋外球場がほとんどのサッカー等とは事情が異なる部分もある。

 となればプロ野球もオープン戦の無観客試合だけでなく、3月20日の開幕も延期せざるを得ない状況は必至だということだ。

プロ野球は日本最大のスポーツイベント。

 プロ野球は12球団が各1シーズン143試合を消化し、年間で858試合を行う。

 試合規模はJリーグも比較にならないほどの日本で最大のスポーツイベントだ。

 それだけに公式戦の中止や延期の決定には、より大きな規模のリスクが伴い難しい決断になることは明らかだ。

 ただ、それでも今回の新型コロナウイルスは斉藤コミッショナーが指摘するように「国難」となる可能性もあるだけに、適宜、迅速かつ多少は過剰と思えても慎重には慎重を期した対応が求められることになる。

 今後は選手や関係者の感染の可能性もあり、もしそうなるとオープン戦のような無観客試合での実施も難しいだろう。

【次ページ】 野球ファン、スポーツファンにできること。

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斎藤惇

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