球体とリズムBACK NUMBER
マリノス、宮本ガンバの策に屈す。
「愚かな失点」と消された爽快さ。
posted2020/02/25 11:50
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
王者横浜F・マリノスのチューニングがまだ合わないようだ。
ゼロックス・スーパーカップでヴィッセル神戸にPK戦で敗れた横浜F・マリノスが、ガンバ大阪との今季J1開幕戦を1-2で落とした。3万4521人を集めたホームスタジアムでも、2週間前の埼玉スタジアムでの一戦と同じように、前半は研究してきた相手に押し込まれ、後手を踏む展開となった。
「(2人が決めたあと5人が外した)PK戦は、おそらく今の自分たちのスタンダードを表している。我々はまだ、なまっている」
スーパーカップ後の会見で、マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は敗戦をそう振り返った。
ただその直前に、「プレシーズンのような試合になってしまった」と話しているように、まだどこか鷹揚に構えている雰囲気があった。「愚かな失点」を嘆いてはいたものの、やり方は変えずに、また昨季のようにスピーディなパスワークで「ゲームをコントロールしていきたい」とあらためて決意を示している。「相手がどこで、どんなことをしてこようとも」と付け加えて。
再び起こった「愚かな失点」。
けれど、指揮官が「プレシーズンのような」と形容した鈍い内容は、レギュラーシーズンの初戦でもさほど変わらなかった。いや今回は90分で屈しており、結果からは悪化したとも言える。「愚かな失点」もまた起こった。
「昨年の開幕戦もマリノスと対戦して、負けているので、まず勝つということを目標に。そこから逆算して、色々な試合を観て対応策を練った」と明かした宮本恒靖監督が指揮を執るガンバに、マリノスは開始から組織的なハイプレスを受けた。
6分には、左の深い位置で扇原貴宏と伊藤槙人が相手に寄せられ、たまらず戻した先のGK朴一圭がトラップミス。矢島慎也にボールをさらわれ、最後は倉田秋に先制点を決められた。ポステコグルー監督はこういう失点を、Silly──愚かな、と表現する。