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湘南ベルマーレ、21年目の開幕戦。
この誇るべき観客席を生んだもの。

posted2020/02/25 20:30

 
湘南ベルマーレ、21年目の開幕戦。この誇るべき観客席を生んだもの。<Number Web> photograph by YUTAKA/AFLO SPORT

湘南ベルマーレが歩んだ長い苦難の道は、このクラブを確かに強くした。ピッチの中でも外でもそれは変わらない。

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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YUTAKA/AFLO SPORT

 2020年のJリーグは、湘南ベルマーレ対浦和レッズ戦で幕を開けた。Jリーグでは'18年から「フライデーナイトJリーグ」と呼ばれる金曜日のナイトゲームを実施しており、1節に1試合だけが先行開催される。

 話題性を追い求めるならば、他のカードだったはずである。たとえば、J1最多出場タイにあと1試合と迫った遠藤保仁のガンバ大阪を、前年覇者の横浜F・マリノスがホームに迎える一戦は注目カードだったはずだ。アンドレス・イニエスタとカズこと三浦知良の競演が期待されたヴィッセル神戸対横浜FCも、開幕前の話題をさらっていた。

 昨シーズン16位の湘南と同14位の浦和の対戦も、見どころがなかったわけではない。

 たとえば、今シーズンからJ1に導入されたビデオ・アシスタント・レフェリーである。通称VARの必要性が広く論じられるようになったのは、奇しくもこのカードがきっかけだ。昨年5月の対戦で、湘南の明らかなゴールが認められなかったのだ。

 湘南対浦和というカードに、感慨を覚えた人もいたかもしれない。1999年のJ1リーグで、J2降格の憂き目に遭ったのがこの2チームだからである。2部制となった初めてのシーズンで、浦和は15位、湘南(当時はベルマーレ平塚)は16位に沈む。当時のJ1は16チームによる2ステージ制で、下位2チームが自動降格となるレギュレーションだった。

浦和は1年で復帰、湘南は……。

 Jリーグの歴史で初めての自動降格を味わった2チームは、対照的な歩みを見せていく。

 すでにビッグクラブとしての地歩を固めつつあった浦和は、1年でJ1へ復帰した。

 湘南はJ2で苦しんだ。メインスポンサーのフジタの撤退によって存続危機に陥り、2000年に湘南ベルマーレとして新たなスタートを切った。J1に戻るまで10年もの時間を要し、3度のJ2降格と4度のJ1昇格を経験してきた。

 浮き沈みを繰り返しながら地力を蓄えていったクラブは、湘南ベルマーレとして21年目となる今シーズンをJ1で迎えている。3シーズン連続でJ1の一員となるのは、クラブ史上初めてのことだ。

【次ページ】 地域貢献の歩みが開幕戦にも表れている。

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