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J開幕戦で浦和サポが熱視線&歓声。
汰木康也という魅惑のドリブラー。
posted2020/02/24 11:50
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
Getty Images
リーグ戦初のVAR判定、PK失敗、終盤の決勝弾……。2020年のJリーグ開幕を告げる湘南ベルマーレと浦和レッズのオープニングマッチは、文字通りの激闘となった。
その中でも、1人の男がボールを持つと観客の目線が注がれた。
次は何をするのか。どんなプレーを見せてくれるのか。誰もがその男のドリブルにワクワク感を抱いていたに違いない。
足の長さを生かしたストライドで相手を一瞬で置き去りにし、緩急をつけたドリブルで中へ切り込みゴールを狙う。魅惑のドリブラーに対して、詰めかけた観客、特に浦和サポーターの声援は、試合が進むにつれて熱を帯びていった。
この試合に並々ならぬ思いでピッチに立っていた男――それは浦和で2年目を迎える汰木康也だ。
出番に恵まれなかった昨季を経て。
横浜F・マリノスの下部組織出身。ユース時代からゴール左45度からのプレーを得意とし、元イタリア代表FWアレッサンドロ・デル・ピエロにちなんで「ユルキゾーン」と呼ばれていた。
汰木はトップチーム昇格こそならなかったものの、'14年にJ2モンテディオ山形に加入。プロ3年目から一気に出場機会が増えると、主力として活躍。それが認められ、'18年オフには浦和に引き抜かれるほどの成長を遂げていた。
だが昨季、浦和での1年目は分厚い選手層もあって、なかなかチャンスを得られない日々が続いた。ピッチに立っても結果を残すことができず、「本当に悔しいシーズンになってしまった」と語ってもいる。
だからこそ、今年にかける思いは人一倍強かった。
今季、浦和は戦術を変更。3バックから4バックに変わったことでサイドアタッカーを主戦場とする汰木の役割もガラっと変わった。特に4-4-2のサイドハーフには、周りとの連携はもちろん、それ以上に個での打開が求められる。
ドリブルを信条にしてきた男からすれば、これほどのチャンスを逃すわけにはいかなかった。