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「これがレノファブランドなんだ」
J2山口・霜田監督の育成術、後編。

posted2020/02/22 11:55

 
「これがレノファブランドなんだ」J2山口・霜田監督の育成術、後編。<Number Web> photograph by Norio Rokukawa

タイキャンプ中、熱心に指導する霜田正浩監督。レノファ山口の2020シーズンの冒険は必見だ。

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飯尾篤史

飯尾篤史Atsushi Iio

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Norio Rokukawa

 2020年のJ2リーグは2月23日に開幕する。自動昇格は2枠、3位から6位までが参入プレーオフ行きと、J1昇格は今季も狭き門となる。それにレノファ山口も挑む。指導して3年目を迎える霜田正浩監督は、どのような青写真を描き、シーズンに臨もうとしているのか。話を聞いた。後編は菊地光将や村田和哉といったベテランの加入、池上丈二のキャプテン就任、そして確立しつつある育成型クラブとしての立ち位置を聞いた。

――小松蓮選手、田中陸選手、森晃太選手と、育てがいのある東京五輪世代の若い選手を獲得しました。森選手は「J2で最も魅力的なサッカーをやっているチームだった。『うちでやれば絶対に成長できるから』という霜田さんの言葉も加入の決め手だった」と話していました。

「昨年、若い選手ばかりを起用して結果が出なかったからといって、今年は平均年齢を高くして、彼らの経験値に頼って勝点を稼ごうとすると、その場しのぎの強化になってしまう。育成クラブとしてのブランドや哲学はなくしたくない。

 社長、GMと一緒に2年掛けて作ってきたので、イキのいい若手をうちでブレークさせるという哲学はブレないようにしたいなと。ただ、目の前の勝点も欲しいし、若手の手本となる選手も必要だから、本物のベテランにも声を掛ける。それが1年目に獲得した坪井(慶介)であり、昨年の工藤(壮人)であり、今年の菊地(光将)です」

――練習を見ると、菊地選手は激しいプレッシャーを受けても落ち着いてパスを繋いでいて、さすがだなと。

「計算ができる。だけど、キクもまだまだ成長しないといけない。(佐藤)健太郎を見てよ。34、5歳でも毎年、成長しているから。選手寿命がどんどん延びている。ベテランの起用の仕方、彼らの経験値をチームにどうやって還元してもらうかということも、今年はもっと考えないといけないと思っています」

村田に「素晴らしい夢だね」と。

――柏レイソルから加入する村田和哉選手も「霜田さんの『まだまだ成長できるよ』という言葉が響いた」と言っていました。

「和哉は会って話したとき、『将来は地元・滋賀のサッカー界に貢献したい』と言ってきたんです。それは素晴らしい夢だねと。俺にできることは何でも教えるから、と伝えました。そういうマインドを持っている現役選手って、本当に少ないので感動しました。もちろん、選手として獲得したので、彼が活躍してくれるのが一番だけど、彼が1年なり、2年なりを山口で過ごして、その経験が滋賀に帰ったときに生きるといいなと思っています」

――夢は、滋賀にJクラブを作り、そこの社長かGMになることだとも言っていました。

「いいよね。僕もこれまで日本サッカー協会や日本代表でいろいろな経験をさせてもらったから、それを選手やスタッフに還元していくのが義務というか、重要なミッションだと思っていて。ここで僕と和哉が出会って一緒に仕事をするのも何かの縁。力になれることがあるなら、なりたいと思っていて」

【次ページ】 山口に長谷部誠はいないからこそ。

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