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松島幸太朗ら“伝説の45期”の主将。
退路を断った、サンウルブズ移籍。
posted2020/02/22 09:00
text by
多羅正崇Masataka Tara
photograph by
MATSUO.K/AFLO SPORT
驚きのニュースだった。
ラグビー国内最高峰トップリーグのNTTコミュニケーションズシャイニングアークスは2月14日、スタンドオフ小倉順平の退団と、スーパーラグビーの日本チーム・サンウルブズへの移籍を発表した。以下はチームの公式コメントだ。
「シーズン途中ではありますが、この度シャイニングアークスの小倉選手がスーパーラグビーチームサンウルブズに移籍となりました。本人とチーム間とで十分な話し合いを設けた結果、トップアスリートとしての本人の夢とこれからのチャレンジを応援する形となります」
神奈川・桐蔭学園高から早大と歩んできた27歳は、移籍発表前までトップリーグの全4試合に出場していた。
2017年にはサンウルブズや日本代表で活躍している小倉は、チームにとってフルバックもこなせる6年目の主力スタンドオフだ。初のトップリーグ4強入り、初優勝を目指すチームにとって欠かせぬ戦力のはずだった。
何があったのか。NTTコミュニケーションズの内山浩文ゼネラルマネージャー(GM)が語った。
「昨年末から『サンウルブズに行きたい』という相談を受けていて、何度もディスカッションをしてきました。契約上難しかったのですが、サンウルブズの開幕戦後にあらためて『どうしても行きたいです』と相談がありました」
悩む小倉の背中を押したNTTコム。
今季はトップリーグとスーパーラグビーが同時進行している。
国内のトップリーグは例年8月に開幕するが、今季は昨秋のW杯日本大会開催により2020年1月12日に開幕を迎えていた。一方、日本からサンウルブズが参戦している国際プロリーグ・スーパーラグビーは1月31日に開幕した。
そのスーパーラグビー開幕節で、サンウルブズが世界を驚かせた。下馬評を覆し、2月1日のレベルズ(オーストラリア)戦を36-27で制したのだ。リーグ参入5年目にして初の開幕戦白星だった。
「彼(小倉)は自分のパフォーマンスをどこで高めたほうがいいのか、自問自答していたと思います。悩んでいる彼を見て、チームとしても、会社としても『本人の希望を後押ししましょう』と動きました」(NTTコミュニケーションズ・内山GM)
当初は今季トップリーグにフルコミットする予定だった契約を変えた。かくしてチームはシーズン中に主軸を送り出した。