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松島幸太朗ら“伝説の45期”の主将。
退路を断った、サンウルブズ移籍。 

text by

多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph byMATSUO.K/AFLO SPORT

posted2020/02/22 09:00

松島幸太朗ら“伝説の45期”の主将。退路を断った、サンウルブズ移籍。<Number Web> photograph by MATSUO.K/AFLO SPORT

スーパーラグビー・サンウルブズ移籍を発表した小倉順平。両立が難しいシーズンとはいえ、所属先に籍を残すのが常だが、小倉は退路を断った。

「順平はチャレンジが好きなやつ」

 サンウルブズに行きたいと思っている――。NTTコミュニケーションズで同期入社のセンター石橋拓也は、小倉にそんな相談を持ちかけられてショックを受けた。

 慶大出身の石橋は大学3年時にフランカーからセンターに転向。その後日本代表キャップも獲得した異才で、同期の小倉とは常日頃からバックスラインを形成してきた。

「(小倉)順平とは一番仲が良いと思っています。そんな彼から『サンウルブズに行こうと思う』『プロとして自分の価値を高めたい』と相談がありました。寂しくなるしショックでしたが、順平はチャレンジが好きなやつ。納得して『頑張ってこい』と言いました」

 NTTコミュニケーションズの試合には、いつも小倉の明るい声が響いていた。新加入の外国人選手にも積極的に声をかけ、チームの士気高揚にひと役もふた役も買っていた。

「順平は日頃からいつもみんなとコミュニケーションを取っていて、いろんな人から好かれている。彼がSNSでサンウルブズ挑戦を発表したら、大きな反響がありました。彼の人間性です」

退路は断つ。リスクある挑戦だ。

 サンウルブズ挑戦の先に、日本代表を見据えている。 
 
 ただ戦列に加わるサンウルブズは、2020年シーズンでのスーパーラグビー離脱が決定している。小倉は存続について何も語られていないチームへ飛び込んだのだ。

 だからこそ、NTTコミュニケーションズの内山GMは来季についての考えを小倉に尋ねた。小倉はリクルーター時代にみずからスカウトしてきた選手。当然のように将来を気に掛けたのだ。

 しかし小倉は1年後の話を拒絶した。

「来季についての話はしていません。彼は来季の契約とか、そういう話をいっさい受け付けませんでした」(NTTコミュニケ-ショーンズ・内山GM)

 退路は断つ。悲壮なまでの覚悟だった。小倉は危険なまでに純度を高めて、今季のサンウルブズにすべてを懸けるつもりでいる。

 サンウルブズは2月16日、第4節レッズ戦へ向けたオーストラリア遠征メンバー27名を発表した。そこに「小倉順平」の名があった。この試合に出場する23人からは漏れたが、近いうちにサンウルブズの一員としてピッチに立つだろう。

 長距離移動は苦にならない。過去には「30時間くらいの移動も大丈夫」と語ったこともある。172センチの体躯に大きなエネルギーと夢が詰まっている。

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