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「アグエロォォ」、遂にアンリ超え。
通算180得点とペップを見返す適応。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2020/01/25 20:00

「アグエロォォ」、遂にアンリ超え。通算180得点とペップを見返す適応。<Number Web> photograph by Getty Images

アグエロという世界屈指の“計算できるストライカー”がいるからこそ、グアルディオラ監督の精緻なパスサッカーは成り立っている。

ワールドクラスで異色の適応力。

 そのうえワールドクラスとしては異色とも言える、適応姿勢と能力を示しているのがアグエロである。

 根本的には自分でネットを揺らさなければ評価されないだけに、エゴが必要とされるのがこのポジション。実力が認められれば、その存在を生かすチーム作りも当たり前となる。前述の元プレミアFW陣のなかに、戦術的な部分でエースの座を追われた者は1人もいない。

 ところがアグエロにはシティの監督に「不十分」とみなされ、放出対象と見られた時期さえあった。

 ペップ・グアルディオラ就任1年目の2016-17シーズンだ。今でこそ「替えが利かない存在」とアグエロを評価している指揮官も、就任当初は進んで前線のレギュラーを替えようとした。

 ベンチスタートが増えたアグエロは、祖国メディア向けのインタビューで「プレッシングが足りなくて監督の怒りを買った」と語っている。

 当時、アグエロは2シーズン前のプレミア得点王であったし、前シーズンもランク2位の24得点を挙げていた。それでもグアルディオラは、信条のポゼッションサッカーで前提となる、前線からの守備が欠けたエースの序列を落としたのだ。

2人と代理人の話し合いの真実は。

 CLでのバルセロナ戦ではノリートを起用し、アグエロにベンチスタートを命じている。その3カ月後にガブリエル・ジェズスが加入。9歳も若い後釜が加入したと理解されたシティの“前エース”にはチェルシー、レアル・マドリー、さらには破格の待遇での中国への移籍が噂された。

 アグエロとグアルディオラがマンチェスター市内のレストランでテーブルに着いている写真がタブロイド紙に掲載されたのも、同じ2017年1月だ。シティのファンにとっては、冷や汗ものだったに違いない。

 監督交代を境に不遇の主力が、代理人を連れて密かにミーティングとなれば、クラブを去る意思を伝えたと想像しても無理はない。だが、実際には戦術的な要求を確認し合うための席だったことが、昨秋に出版された『PEP'S CITY』で明らかにされた。

「グアルディオラのシティ」の舞台裏が描かれた同書によれば、自らにプレッシャーをかけるがゆえ、要求も厳しい指揮官の在り方について、アグエロは「そういう人物だから」として受け入れた。「意識すること自体が不慣れ」で「最初は体力的にもキツかった」相手GKやCBへのプレッシングに取り組む覚悟を決めたのだ。

【次ページ】 ペップを見返して勝ち取った信頼。

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