プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「アグエロォォ」、遂にアンリ超え。
通算180得点とペップを見返す適応。
posted2020/01/25 20:00
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
「アグエロォォォォォ!」
と言えば、2011-12シーズンのプレミアリーグ最終節でマンチェスター・シティに逆転ゴールが生まれた瞬間。QPRとの一戦が引き分けに終わっていれば、宿敵マンチェスター・ユナイテッドのリーグ連覇が決まるところだった。
しかし、セルヒオ・アグエロが終了間際にネットを揺らし、勝ち点で並んだシティが得失点差で44年ぶりのリーグ優勝を果たした。ポイントどころかタイトル直結のゴールを決めたアルゼンチン代表FWは、その右足による一蹴りで3800万ポンド(約54億円)の移籍金を一気に返済したと言われた。
実際には、ベンチを出て30分間で2得点のデビューに始まった同シーズン開幕節から、順調に自身の価値を示していた。優勝決定ゴールはプレミア1年目の23得点目だった。
その後も昨季までの8シーズン中6シーズンでリーグ20得点台という高度の安定ぶり。去る1月21日、今季24節シェフィールド・ユナイテッド戦(1-0)での決勝点により、プレミアリーグでの通算得点数は「180」を数えた。
1992年から「プレミア」と呼ばれるようになったイングランドのトップリーグで、アグエロより多くのゴールを決めている選手は、もはや3人しかいない。今年6月で32歳になる年齢と、祖国アルゼンチンのインディペンディエンテに戻っての引退を望んでいる状況からして、さすがに歴代トップのアラン・シアラー(260得点)には届かないだろう。
プレミアで最もゴールを奪った外国人。
だが、過去5シーズン平均22点を超える得点ペースと、満了まで1年半を残すシティとの契約期間を考えれば、歴代3位のアンディ・コール(187得点)はもちろん、2位のウェイン・ルーニー(208得点)も射程圏内だ。
このトップ3の顔ぶれを見ればわかるように、外国人選手としてはすでに歴代得点王の地位に就いている。
ハットトリック達成でティエリ・アンリ(175得点)を抜いた22節のアストンビラ戦(6-1)後、先代の外国人得点王ほど「プレミア・レジェンド」扱いされていない事実が、メディアで話題となった。
優勝への貢献度という意味では、アーセナル時代のアンリが国内主要タイトル計4冠であるのに対し、シティでのアグエロは計9冠。しかし、年間最優秀選手としての認知度は、アンリがPFA(選手協会)に2度、FWA(記者協会)に3度選ばれている一方、アグエロは受賞歴のないまま今季を迎えている。