猛牛のささやきBACK NUMBER
崖っぷちにいたオリックス神戸文也。
震えたプロ初登板、母への感謝。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/01/24 11:30
8月10日、プロ初登板となった楽天戦。「足が震えていた」と振り返った。
まだまだ満足はしていない。
崖っぷちから這い上がった右腕は、自分の今の姿を受け入れながら、目指すレベルとのギャップを1歩ずつ埋めていく。今年はさらに細部にこだわり、精度を高めていく。
「左バッターのインコースの精度があまり良くなかったので、そこにしっかり投げきれるようにすればもっと投球の幅が広がる。あと、フォークに頼りすぎていたので、もう少しスライダーの精度を上げたい。昨年19試合に投げましたけど、この投手は初球からでもバンバンフォークを投げてくる、というイメージがあると思うし、相手はたぶんフォークとまっすぐしかマークしていないと思う。そこで、スライダーとかでポンッとカウントを取れたら。バッターの頭の中の選択肢を増やせればいいかなと思います」
念願の支配下登録は勝ち取ったが、まだまだ満足はしていない。
「まだ、始まったばかりですから」
穏やかな物腰の中に芯の強さを秘める25歳は、虎視眈々と上を見据える。