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湘南内定から一転、スイス移籍へ。
18歳FW若月大和の野望、独占告白。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2020/01/28 19:00
悩みながらも欧州移籍を決断した高校3年・若月大和。世界も注目するスピードスターはどんな道のりを歩んでいくのか。
海外クラブから届いたオファー。
帰国後、彼の元には多くの海外クラブからの打診があった。その中にはセリエAの強豪・ユベントスなどの名前もあった。
しかし、現実はそんなにスムーズに行くものではなかった。
「セリエAのクラブが多いのもあって、僕の中ではイタリアで勝負したいという気持ちが固まってきていました。でも、やっぱり現実はいろんなものが重なって、途中で『イタリアではなく、スイスかもしれない』という話になりました。正直、スイスなんて考えてもいなかったので、最初は正直ショックというか、落ち込みました。でも、やっぱり海外でプレーをしたかった。
それにスイスリーグも決してレベルが低いわけではありません。そこには厳しい競争がある。ヤングボーイズ、バーゼルといったヨーロッパの舞台で戦っているチームもあるし、シオンもリーグ優勝の経験もあるクラブ。それにスイスはイタリア、フランス、ドイツに囲まれているので、そこで活躍すれば見てもらえるし、チャンスも膨らむと思いました」
トップチームの一員としての移籍。
若月が入団するシオンはこれまでリーグ優勝2回、カップ戦(スイスカップ)優勝13回を誇り、2015-16シーズンではヨーロッパリーグにおいてルビン・カザンとボルドーに勝利。リバプールには引き分けて、初の決勝トーナメント進出を果たしている。第19節終了時点でリーグ全10チーム中8位に位置するが、スイスの名門クラブの1つである。
当初望んでいたセリエA移籍は叶わなかったが、U-19やU-23の選手が集うセカンドチームではなく、正式にトップチームの一員としてヨーロッパのクラブからオファーを受けた。そこに大きな価値があることを彼自身も理解していた。
「海外挑戦というと、Jリーグで1、2年プレーしてから、という形もあったと思いますし、多くの人がその道を勧めると思う。でも僕は少しでも早く海外でプレーして、肌で体験して、これからもっと長く海外でやりたい気持ちがあります。もちろんベルマーレへの感謝、愛着はありますが、自分で海を渡ると決めた以上、簡単な理由で帰ってきたくはありません。活躍できなかったらベルマーレに戻ろうという気持ちは、ある意味ベルマーレに失礼だとも思っています。
ただ、僕はベルマーレの選手であることは間違いないし、誇りに思っているので、ベルマーレへのお礼は僕が活躍することで、『ベルマーレというクラブは若手を見抜く目と育てる力がある』と証明することだと思っています」