フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
五輪女王「1人のファンとして楽しみ」
アイスダンス高橋大輔へのエール。
posted2020/01/07 15:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
2019年の全日本選手権で、高橋大輔はシングルスケーターとしての最後の競技演技を終えた。会場となった代々木第一体育館では、高橋が登場すると、驚くほど多くの応援バナーが掲げられた。
改めて彼がどれほどフィギュアスケートファンに愛されていたのか、再認識させられた大会だった。
「本当に大変な1年だったんですけど、でも、こうやって最後にお客さんの温かい拍手を……」
演技後、感極まったように言葉に一瞬詰まった高橋。
「あんな演技でも温かい拍手を、声援とか拍手を送って下さって……」
10月末に左足首を負傷して、最後の舞台となった全日本選手権が、今季唯一の競技会だった。怪我の影響と靴の調整に苦しんだこともあり、ジャンプでは苦戦。総合12位という結果になったものの、彼が氷の上で見せた存在感はやはり格別なものだった。
「今日まであんまり引退っていうのが、シングル最後っていうのはあまり自分にとってすごく大きなものではなかったんですけど、本当に最後のあんな演技でも温かい拍手を頂けたことを見て、本当にシングル引退なんだなっていう実感がわいてしまって……こういう場で、次に向かえることは本当に僕自身幸せ者だな、っていうふうに感じています」
サプライズの連続だった過去数年。
ここ数年、高橋大輔のファンは驚かされっぱなしだった。
ソチオリンピックが終わった半年後、競技活動休養中の2014年10月、突如として競技引退を発表。ファンたちに「最後の舞台」を披露する機会もないままに、現役を退いた。
でもそのことが、ほぼ4年後の2018年7月に現役復帰を表明した理由の1つでもあったのに違いない。5シーズンぶりに挑んだ2018年12月の全日本選手権で2位に入賞。
そして2019年9月には、シングルの活動は今季を最後とし、来季から村元哉中と組んでアイスダンスに転向するというニュースを発表した。