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神戸優勝の要因はむしろ日本人選手?
飯倉、那須が語る緩さからの脱却。
posted2020/01/06 20:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
JFA/AFLO
「自分がピッチに立って優勝したのは、今回が初めて。僕がマリノス時代(横浜FM)に天皇杯、ルヴァンカップで準優勝だったから、今回リーグ優勝したマリノスを見ながら、自分は厄病神だと思っていた。今日優勝できて、身体の奥底から喜びが湧いてくる」
神戸のゴールキーパー飯倉大樹は、優勝についてそう語った。
2020年1月1日。新しくなった国立競技場で行われた天皇杯決勝。2-0で神戸が勝利し、クラブ史上初めての優勝を飾った。
2018年シーズン途中、バルセロナからアンドレス・イニエスタが加入し、クラブの大改革の旗印となったが、同シーズンはリーグ戦10位に留まった。
そして2019年シーズン、ダビド・ビジャ(元スペイン代表)、西大伍、山口蛍らが加入し、その後もセルジ・サンペール(バルセロナ)が戦力となったものの、成績は芳しくなく、監督交代が繰り返された。そして夏、守備の強化を目的に、ジョアン・オマリ、トーマス・フェルマーレンに加えて、酒井高徳、飯倉を獲得。
ドイツ人監督トルステン・フィンクのもとで3バックが定着し、チームは安定感を発揮し始める。酒井高徳が出場した第23節以降の12試合では8勝4敗と勝ち越し、3連勝でリーグ戦を終えている。
「何から手をつけたらいいんだろう」
7月下旬、横浜から神戸へ移った飯倉は当時をこう振り返る。
「俺が来たときは、何から手をつけたらいいんだろうというくらい課題が目に付いた。ひとつずれたら誰も守備へ行かず、何をどう言えば伝わるんだろうという感じだった。練習の時点で、そういう基本的なことがチームとしてできていないと思った。そこで蛍、大伍をはじめ、日本人選手とコミュニケーションをとるようにした」
すべてにおいて、緩さや温さ……そんな空気を感じたという。低成績の原因はその練習から漂っていた。
「高徳が来て、ファーストディフェンダーがはっきり行くことがチームに浸透していった。左サイドにトーマスと高徳が入り、彼らがしっかりアプローチに行くことで、チーム全体に、これじゃなければダメなんだという空気が生まれた。左も行くし、右も行くというふうに。
勝利もついてきたから、それがまた相乗効果になったと思う。練習中から、行くべきところは激しく厳しく行くように変わっていけた。最初は残留争いから始まったけれど、自分たちのスタイルを組み立ててきたことが、今日の優勝という結果に繋がっていると思う」