武尊とは「もう交わる確率はないと思う」。

　その名前を聞いた時、那須川は「エッ、ここでやるの!?」と驚いた。

「正直、キックボクシングを知らない人から見たら『江幡って誰?』となるかもしれない。でも、江幡選手のvs.日本人無敗というレコードを調べたら納得できるはず。勝負論のある対戦カードになると思います」

　巷では“K－1のエース”武尊との直接対決を期待する向きもあったが、機は逸してしまった。12月5日の記者会見で武尊との一騎討ちについて訊かれると、那須川はハッキリと答えた。

「もう交わる確率はないと思う。今はそこまでやりたいと思っていない」

　現在は目の前の敵──江幡塁に全力投球だ。

「彼が最強と呼ばれているのは僕と闘っていないから」

「江幡選手は僕が得意なタイプ。お互い待ちというかカウンタータイプだけど、江幡選手も攻める時は攻める。結構やりやすい相手だと思っています」

　お互いカウンタータイプだと見すぎてこう着する場面も想定できるが、那須川は「そういう展開もあるかもしれないけど、攻撃の精度が違う」と一蹴した。

「たぶん江幡選手も僕とやってビックリすると思う。彼が最強と呼ばれているのは僕と闘っていないから。今まで経験してきた修羅場の数の違いを見せつけようと思います」

　また、那須川は「そもそも江幡選手とは見ているところが違う」とも付け加えた。

「彼の目標は打倒ムエタイ。それに対して僕のそれは世界征服。世界を巻き込んで何かを企てている」

　発想が少年っぽいので、気持ち的にはまだ中学生？ と水を向けると、那須川は「気持ちはずっと中学生のまま」と居直った。

「いまでもアニメは好きだし、自分にできないことはないと思っている」

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